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中国で生産されているコーヒーについて。急成長するコーヒー市場事情も解説

世界的にコーヒー需要が高まっているのと同時に、中国でもコーヒー需要が増加してきました。コーヒー市場も急成長しており、生産のメインとなっている雲南省のコーヒー豆にはスペシャルティコーヒーとして流通している銘柄も存在します。本記事では、中国のコーヒー事情を紹介。栽培環境や消費量、中国コーヒーの特長を解説します。

1.中国のコーヒー事情

中国では国の発展とともに、コーヒーの需要も高まっています。コーヒー市場も急成長を遂げ、都市では現代的なカフェも多く見られるようになってきました。まずは、現在の中国でのコーヒー人気やこれまでの歴史を紹介します。

中国のコーヒー人気

近年、世界規模でコーヒー需要が増加傾向にあります。その背景のひとつとして挙げられるのが、新興国の成長です。中国もその1つと言えるでしょう。国の発展とともに生活水準が向上し、嗜好品であるコーヒーの需要が高まっているのです。中商産業研究院の報告では、コーヒーの消費量は4年間で約2倍。輸入量も年間で約16%増と急上昇していることが分かっています。

1人あたりのコーヒー消費量は年間で3.7杯とまだ少なめです。しかし、市場規模は確実に成長しています。

また、中国の都市部ではカフェが増加傾向にあることも、コーヒー需要の高まりを物語っています。

中国とコーヒーの歴史

日本ではコーヒーを漢字にすると珈琲と書きますが、中国では咖啡と、微妙に異なります。中国でコーヒー栽培が始まったのは20世紀初頭からと言われており、16世紀~18世紀の間にコーヒー栽培が行われたインドやベトナムと比較すると、歴史は浅いと言えるでしょう。

初めてコーヒーが植えられたのは、南西部に位置する雲南省思芽(シモン)区。政府主導でコーヒー事業が開始されましたが、失敗に終わってしまいます。しかしその後、民間企業が主体となりコーヒー栽培の育成拡大が再計画されました。これを機に、タバコ農家をしていた人々がコーヒー栽培へと転換していきました。現在でも雲南省は、中国で最もコーヒー栽培が盛んな地域となっています。

2.中国のコーヒー生産

中国では、主に雲南省でコーヒーが栽培されています。雲南省はコーヒー栽培に適した環境を有している地域です。ここからは、中国コーヒーの栽培地域についてや環境、生産量などを紹介します。

中国のコーヒー栽培地域

中国のコーヒー栽培は、全体の95%を雲南省が占めています。雲南省は中国の南西部に位置する省で、ミャンマー、ラオス、ベトナムの国境と接しています。森林が多く緑豊かで、上海などの大都市のような場所ではなく、自然に恵まれた秘境のような場所です。チベットと四川省を走っている横断山脈が雲南省にも続いており、最高峰約5,596mの名山も存在します。

雲南省で栽培されているコーヒーは、アラビカ種です。現在では中国コーヒーの良さをより多くの人に知ってもらうため、積極的に宣伝などの活動が行われています。

中国のコーヒー栽培環境

主なコーヒー生産地である雲南省は、お茶の産地として有名です。プ—アール茶という中国茶の種類をご存知の方も多いのではないでしょうか。雲南省には、その名の由来となったプ—アール市が存在します。

お茶だけではなく、雲南省の環境はコーヒーの栽培にも適したものです。標高900〜1,200mの高原地帯があり、昼夜の気温差が大きいです。中米のコーヒー生産地にも似たその環境は、上質なコーヒーを栽培するのに最適な条件と言えます。

他のコーヒー生産国と異なる点は、降雨量と言えるでしょう。一般的にコーヒー栽培に適正な降雨量は年間1,800〜2,500mm程度と言われていますが、雲南省の年間降雨量は約1,700mm。若干少ない傾向にありますが、その分コーヒーの味が劣るというわけではありません。広大な自然の中で育まれた雲南省のコーヒーは、スペシャルティコーヒーの流行とともに注目度も高まっているのです。

中国のコーヒー生産と消費

雲南省でのコーヒー生産量は約13.9万トン。コーヒー栽培地の面積は12万ヘクタールにも及ぶと言われています。

コーヒー生産の歴史はまだ浅い中国ですが、歴史が浅いためコーヒーの樹齢が若く、生産性が高いのです。面積の広さとコーヒーの木の若さを兼ね備えている点から、大量生産できる環境が整っていると言えるでしょう。

また、中国は生産だけではなく、消費の面においても量が増えています。06年から18年までの12年間で、コーヒーの消費量は約5倍にまで上昇しました。

お茶のイメージが強い中国ですが、国の成長とともにコーヒー消費大国の一国となりつつあるのです。

3.中国コーヒーの特長や美味しい飲み方

中国コーヒーは、癖が少なく上品な味わいです。近年では上質なスペシャルティコーヒーも増えてきています。ここからは、中国コーヒーの味わいや美味しい淹れ方を紹介。大国中国のコーヒーを楽しんでみてはいかがでしょうか。

中国コーヒーの特長

中国で生産されるコーヒーは、ほとんどがアラビカ種です。大量生産に向いた環境を有していますが、近年では上質で希少性の高いスペシャルティコーヒーとして流通しているものもあります。スペシャルティコーヒーとは、品質が非常に優れていると認められたコーヒーのこと。農園での栽培から消費者の手元に渡るまで、しっかりと管理されているコーヒーです。

中国コーヒーは生産量も品質に対する評価も上昇してきています。今はまだマイナーなコーヒー産地かもしれませんが、数年後にはブラジルやコロンビアのような、有名銘柄を大量に輸出するコーヒー生産国の1つとなる可能性を秘めていると言えるでしょう。

スペシャルティコーヒーについては下記の記事でも詳しく紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。

中国コーヒーの味わい

中国コーヒーの味わいの特長は、酸味や苦味が控えめな点です。癖が少なく、非常に爽やかな飲み口のため、万人に飲みやすいコーヒーと言えます。また、爽やかなだけではなく上品な後味を楽しめるのもポイント。フルーティな香りも感じられ、尖った印象のない上品な味わいです。

中国コーヒーにおすすめの焙煎度

中国コーヒーを焙煎する際には、ぜひ中煎りを試してみてください。酸味と苦味、癖の少ない中国コーヒーの特長を引き立たせた爽やかさが楽しめます。また、挽き方にも注目すると味わいがさらに良くなるでしょう。粗挽きでは味が薄くなってしまうかもしれないので、中挽きがおすすめです。

中国コーヒーの美味しい淹れ方

中国コーヒーは一般的なペーパーフィルターのドリップコーヒーで美味しく飲めます。
まずは中挽きのコーヒー粉をフィルターにセットして、お湯を90度まで温めましょう。少量のお湯を優しく注ぎ、30秒程度じっくりと蒸らします。蒸らしが終わったら、残っているお湯を3回程度に分けて「の」の字を描くようにゆっくりと優しく注げば完成です。

ドリップコーヒーの美味しい淹れ方については、こちらの記事で詳しく紹介しているのでぜひチェックしてみてください。

4.中国コーヒーは可能性に満ちている

中国はこれから市場発展が見込まれる、可能性に満ち溢れたコーヒー生産国です。ブラジルやコロンビアと並ぶコーヒー生産大国となるのも、遠い未来ではないかもしれません。今はまだ珍しい銘柄である中国コーヒーを味わってみてはいかがでしょうか。

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