日本でも見かける機会が少しずつ増えてきているラオスコーヒー。ラオスコーヒーとは、東南アジアにあるラオス共和国で生産されたコーヒーのことです。この記事ではラオスコーヒーについて、歴史や特長、産地情報、ラオスコーヒーの美味しい飲み方を紹介します。ラオスコーヒーについて知りたい人はぜひチェックしてみてください。
1.ラオスコーヒーについて
まずはラオスコーヒーについて、ラオスという国のことやラオスコーヒーの歴史、ラオスコーヒーの特長を紹介します。
ラオスとは
ラオスは東南アジアにある共和国です。18世紀から19世紀にかけて、他国の植民地でした。独立後も内乱が続き、アジア諸国の中では未だ発展途上国です。しかし飢えによる死者は少なく、貧窮しているわけではありません。
ラオスコーヒーの歴史
1915年、フランスからコーヒーノキが持ち込まれたのがラオスコーヒーの始まりです。当初はラオスの政治や内戦の影響で、コーヒー豆の生産はほとんど発展していませんでした。
しかし、ラオス政府がコーヒー豆の生産を復興する改革支援を始めたことで、状況は一変します。ラオスでは植民地時代にコーヒー豆の生産を始めた小規模農園が多く、産業拡大による市場価格の下落に耐えられる経済的体力がありませんでした。
そこで2000年頃、小規模農園とフェアトレード契約を結びます。フェアトレード契約とは発展途上国で生産された製品を、継続して適正な価格で取引を行うことです。
フェアトレード契約により、ラオスのコーヒー豆を保護する動きが広まりつつあります。ラオスではカネフォラ種(ロブスタ)の生産量の方が多いですが、フェアトレードを推進する企業や組合により、アラビカ種や市場で価値の高いコーヒー豆の生産を目的とした指導や機械が導入されています。現在ではベトナムや中国などの隣国やヨーロッパや日本にもラオスのコーヒー豆が輸出されています。
ラオスコーヒーの風味
海外向けには主にアラビカ種が輸出されています。ラオスのアラビカ種は苦味が控えめで、ほのかな酸味と甘味のある爽やかで素朴な風味です。さっぱりとした飲み口で、苦いコーヒーや酸っぱいコーヒーが苦手な人におすすめです。
2.ラオスコーヒーの産地情報
ここではラオスコーヒーの産地情報について、生産環境や生産状況、消費状況を解説します。産地の情報を知り、ラオスコーヒーにより詳しくなりましょう。
ラオスコーヒーの生産環境
ラオスのコーヒー豆の生産は、9割ほどが南部のボーラウェン高原で行われています。ラオス南部は赤道に近いため、温暖な地域です。標高も高く、雨季と乾季のあるモンスーン性気候が特長です。また数百年前に起きた火山噴火により、コーヒー豆の栽培に必要なミネラルを豊富に含んでいる火山灰性の土壌でもあります。これらの環境はコーヒーノキを栽培するのに適しています。
ラオスコーヒーの生産状況
ボーラウェン高原では1万5,000人~2万人の人達が小規模農園でコーヒー豆の生産を行っています。数は少ないですが、大規模農園を運営するところもあるようです。小規模農園では無農薬、手作業で栽培や収穫が行われています。
アラビカ種の収穫時期は3~5月です。精選方法は水洗式(ウォッシュド)。ウォッシュドとは収穫したコーヒー豆を大量の水で精選する方法です。すっきりとしたクリアな味わいに仕上がります。
ラオスコーヒーの消費状況
アラビカ種は外貨を獲得するのに必要なため、生産量のほとんどを他国へ輸出しています。そのためラオス国内ではカネフォラ種(ロブスタ)を消費しています。カネフォラ種(ロブスタ)は、力強い味わいのコーヒー。現地ではコンデンスミルクをくわえて飲む人が多いようです。
3.ラオスコーヒーの美味しい飲み方
日本に流通しているラオスのコーヒー豆はアラビカ種です。ラオスコーヒーのアラビカ種は透明感のある味わい。ここではラオスコーヒーの美味しい飲み方を紹介します。抽出方法による風味の違いをぜひ味わってみてください。
美味しい飲み方①ペーパードリップ
ラオスコーヒーをペーパードリップで抽出する場合は、ハイローストなどの焙煎度で中挽きの粒度がおすすめです。ペーパードリップでは、なめらかな舌触りとカシューナッツのような風味を楽しめます。ライムや甘夏のような爽やかさを感じることも。酸味はそれほど強くありません。ペーパードリップに必要な道具と淹れ方を紹介します。
<ペーパードリップに必要な道具>
・ドリッパー
・ペーパーフィルター
・コーヒーサーバー
・電子ケトル(またはやかん)
・ドリップケトル
・コーヒー粉
・コーヒーカップ
<淹れ方>
1. コーヒードリッパーの上にペーパーフィルターをセットし、コーヒー粉を加える。
2. 電気ケトル(またはやかん)でお湯を沸かし、沸騰したらコーヒーサーバーやコーヒーカップに注ぎ、容器を温める。
3. ドリップケトルにお湯を移し、90度くらいの適温にする。
4. 中心から外側に向かって「の」の字を描くようなイメージで、コーヒー粉の上に少量のお湯を注ぎ、しっかり蒸らす。
5. 3回に分けて「の」の字を描くように少しずつ注いだら抽出完了。
美味しい飲み方②フレンチプレス
ラオスコーヒーはフレンチプレスで抽出するのもおすすめです。甘味が前面に出てくるので、より飲みやすくなります。ほのかな酸味もあります。フレンチプレスで抽出する時は、ハイローストなどの焙煎度で、粗挽きがおすすめです。少し薄めに抽出すると、スッキリとした飲み心地も楽しめます。
<淹れ方>
1. 沸騰したお湯をフレンチプレスに適量注ぎ、シャフトをセットして温める。
2. フレンチプレスを温めたお湯を捨て、適量のコーヒー粉とお湯を入れる。この時、お湯を勢いよく注ぐのがポイント。
3. スプーンなどでかき混ぜてお湯とコーヒー粉をなじませて4分ほど置く。
4. 4分経ったら金属フィルターでゆっくりとプレスしていく。
5. コーヒー粉が入らないように気を付けながらカップに注いだら完成。
美味しい飲み方③ジャスミンティーを添えて
本場ではコンデンスミルクを加えた甘いコーヒーと一緒に、あっさりとしたジャスミンティーがついてきます。甘いコーヒーとジャスミンティーを交互に味わって、コーヒーを楽しんでいます。ラオスの人達はコーヒー1杯の間に、お茶を5杯ほど飲むそうです。喫茶店のようなお店ではお茶が半分くらいになると、店員さんが追加で注いでくれることも。ジャスミンティーとラオスコーヒーのコラボを味わってみるのも良いでしょう。
美味しい飲み方④水出しコーヒー
ラオスコーヒーの甘味をより楽しみたい人には、水出しコーヒーがおすすめです。フレッシュさも楽しめます。水出しコーヒーの場合は、ハイローストなどの焙煎度で、中細挽が良いでしょう。ここではドリップ用のコーヒーサーバーでの作り方と麦茶用のピッチャーでの作り方を紹介します。
<ドリップ用のコーヒーサーバーでの作り方>
1. コーヒーサーバーにコーヒー粉を50gほど入れ、水を静かにゆっくりと注ぐ。
2. マドラーやスプーンを使って、軽くかき混ぜる。
3. 冷蔵庫で7~8時間ほど置く。
4. ペーパーフィルターを通しながらコップに注いだら完成。
<麦茶用のピッチャーでの作り方>
1. 挽いたコーヒー豆約100gを茶葉用の紙パックに入れて封をする。
2. 麦茶用ピッチャーに1の紙パックを入れて、常温の水1リットルほどを静かに注ぐ。
3. 常温のまま1時間ほど置いてしっかりと抽出する。
4. 冷蔵庫で7~8時間ほど置き、紙パックを取り出したら完成。
4.いろいろな飲み方でラオスコーヒーを楽しもう
ラオスではアラビカ種とカネフォラ種(ロブスタ)の両方が生産されていますが、近年日本でもラオス産のアラビカ種が注目を集めています。ほど良い酸味と甘味があり、すっきりとした飲み心地が特長のラオスコーヒーは、抽出の仕方によって風味が変わります。ドリップしたり、水出ししたりなど、いろいろな飲み方でラオスコーヒーを楽しんでみてください。
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