ベトナムは世界2位のコーヒー豆の生産量を誇っています。そのほとんどは苦味の強いカネフォラ種(ロブスタ)のため、コンデンスミルクを加えたコーヒーを飲む人が多いのです。この記事ではベトナムのコーヒーについて、コーヒー豆の特長、コーヒーの淹れ方、アレンジレシピを紹介します。
1.ベトナムコーヒーとは
ベトナムでは独自の方法でコーヒーを抽出しています。ベトナムコーヒーの特長やコンデンスミルクを加える理由について紹介します。
ベトナムコーヒーの特長
ベトナムでは独自のフィルターを使ってコーヒーを抽出します。コンデンスミルク(練乳)を加えた甘くて濃厚なコーヒーが主流です。砂糖を加えたコーヒーよりもかなり甘く、デザート感覚に近いでしょう。しっかり混ぜないで飲むと、前半は苦く、後半はとても甘くなります。
コンデンスミルクを加える理由
ベトナムのコーヒーに加えるものがミルクではなくてコンデンスミルクなのは、ベトナムの歴史が関わっています。1850年代にベトナム北部にアラビカ種のコーヒーノキを導入しましたが、アラビカ種はベトナム北部の環境に適応せず、収穫量も確保されませんでした。
19世紀ごろ、フランスの植民地化とともにカネフォラ種(ロブスタ)のコーヒーノキが持ち込まれました。カネフォラ種(ロブスタ)の導入は成功し、現代でも大量に生産されています。しかしカネフォラ種(ロブスタ)は苦味が強く、クセのある味のため、ブラックでは飲みにくいです。現地にいたフランスの人達はコーヒーを飲みやすくするためにミルクを加えようと考えました。でも、当時のベトナムではミルクが手に入りにくかったため、ミルクの代わりにコンデンスミルクが加えられるようになったと言われています。
2.ベトナムのコーヒー豆の特長
カネフォラ種(ロブスタ)のコーヒーノキは低地でも栽培可能です。またベトナムでもコーヒー豆の格付けが行われています。ベトナムのコーヒー豆の生産状況や格付けを紹介します。
ベトナムのコーヒー豆の生産状況
ベトナムでは標高500mほどの中部の高原や南部に、コーヒー豆の生産地が集中しています。カネフォラ種(ロブスタ)はさび病に強く、低地でも栽培でき、高温多湿な地域にも適しています。アラビカ種も一部地域(ダラットなど)では生産されていますが、その生産量は全体の1%ほどです。
ベトナムにはコーヒーの生産に携わっている人が約260万人います。ほとんどのコーヒー農家が1~50ha未満の中小農園です。収穫時期は10月から翌年の4月で、精製方法はナチュラル。収穫したコーヒーの実を天日干し、もしくは機械乾燥しています。
ベトナムのコーヒー豆の格付け
ベトナム(カネフォラ種)ではスクリーンサイズ(コーヒー豆の大きさ)と欠点豆数で格付けが行われています。スクリーンサイズが16以上、欠点豆が300g中の60個以下はグレード1、スクリーンサイズが12.5以上で、欠点豆が同90個以下はグレード2に格付けされます。
3.ベトナムコーヒーの淹れ方
ベトナムコーヒーはベトナム独自のフィルター、カフェ・フィンを使用してコーヒーを抽出します。ここではベトナムコーヒーの淹れ方や淹れる時の注意点について解説します。
準備
ベトナムコーヒーを淹れる時に用意するものを紹介します。
<用意するもの>
・深煎り中挽きのコーヒー粉 12~15g
・お湯 120ml前後
・コンデンスミルク20~25g
・カフェ・フィン(独自のコーヒーフィルター)
・耐熱グラス
・細口ドリップポット
・スプーン
淹れ方
ベトナムコーヒーの淹れ方を紹介します。
<手順>
1.カフェ・フィンにコーヒー粉をセットする。
2. 中蓋を乗せる。ネジで締めるタイプの中蓋の場合はネジで締める。
3.グラスにコンデンスミルクを入れ、グラスの上にカフェ・フィンを乗せる。
4.中蓋の上からお湯を少量注ぎ、20秒ほどコーヒーを蒸らす。
5.20秒ほどしたら、再度お湯を注ぎ、上蓋をして5~10分程度抽出が終わるまで待つ。
6.カフェ・フィンを取り、コンデンスミルクとコーヒーをよく混ぜたら完成。
注意点
カフェ・フィンを使う時、コーヒー粉の粒度が細かすぎるとコーヒー粉がフィルターを通り抜けてしまいます。コーヒー粉は中挽きよりも細かい粉を使わないようにしましょう。中蓋を締めるタイプの場合は、締め加減によってコーヒーの濃さが変わります。強く締めるほど、濃いコーヒーが抽出されます。好みで締め加減を調整してください。
4.ベトナムコーヒーのアレンジレシピ
ベトナムではコンデンスミルクを加えて飲む人が多いですが、それ以外の飲み方をする人もいます。ここではベトナムコーヒーのアレンジを紹介します。
ブラックベトナムコーヒー
ブラックベトナムコーヒーはコンデンスミルクを加えないアイスコーヒーです。
<作り方>
1.コーヒーを抽出する。
2.グラスに氷をたくさん加える。
3.よく混ぜて氷が少し溶けたら完成。
ブラックベトナムコーヒーにミルクを加えるのもおすすめです。普通のカフェオレとは違う美味しさがあります。ミルクを加える時は、ミルク2:ブラックベトナムコーヒー1の割合が良いでしょう。
ヨーグルトコーヒー
ヨーグルトコーヒーは、コーヒーの苦味とヨーグルトの酸味がマッチした爽やかな風味のコーヒーです。ベトナムでヨーグルトコーヒーが誕生したのは10年ほど前ですが、現在でも人気のコーヒーです。
<作り方>
1.アイスコーヒーを用意する。
2.グラスにコンデンスミルクとヨーグルトを入れて混ぜ合わせる。
3.グラスにアイスコーヒーを注いだら完成。
コーヒーの量は、ヨーグルトの量よりも少なめにしてください。
ベトナムエッグコーヒー
ベトナムエッグコーヒーはまろやかで絶妙な味で、デザートのような感覚のコーヒーです。
<材料>
・コーヒー適量
・卵 1個
・練乳 適量
<作り方>
1.コーヒーを抽出する。
2.小さめのボールに卵黄を入れる。
3.ボールにコンデンスミルクを加える。
4.卵黄とコンデンスミルクをふんわりとしたフォーム状になるまで混ぜ合わせる。
5.抽出したベトナムコーヒーをティースプーン1杯ボールに加え、再度泡立てる。
6.グラスにベトナムコーヒーを注ぎ、その上に泡立てた卵をふんわりとグラスのフチぎりぎりまで注いだら完成。
5.ベトナムコーヒーでおうち時間を充実させよう
ベトナムでは苦味が強いカネフォラ種(ロブスタ)の生産が主流。そんなベトナムのコーヒーは、カフェ・フィンと呼ばれる独自のフィルターを使い、コンデンスミルクを加えて飲まれることが多いのです。最近ではベトナムエッグコーヒーも人気です。ベトナムコーヒーを飲んで、おうち時間を楽しんでみてください。