サードウェーブコーヒーは、第三のコーヒーの流行のことです。コーヒー業界の新たな局面や流行を指します。シングルオリジンコーヒーの使用や浅煎りの豊かな酸味などが特長です。この記事では、サードウェーブに至るまでのコーヒーの変遷やサードウェーブコーヒーの特長、楽しみ方などを紹介します。
1.サードウェーブを含めたコーヒーブームの変遷
サードウェーブは、コーヒー業界の流行の第三波のことです。それ以前にはファーストウェーブ、セカンドウェーブがありました。コーヒーブームの変遷を解説します。
サードウェーブコーヒーとは
サードウェーブコーヒーとは、2000年代に入りコーヒー業界に広まった新たな波、そこで提供されるコーヒーを言います。2002年頃からアメリカを中心に使用され始めたワードで、主な特長は次の4つです。
・シングルオリジン
・浅煎り
・ハンドドリップ
・ダイレクトトレード
より詳しい内容は、次の章で紹介します。いずれも、味や品質へのこだわりの深まりや生産者への関心の高まりによって現れた時流です。より高品質のコーヒー豆が良いとされており、サードウェーブコーヒー自体がスペシャルティコーヒーの一部とも言えます。
ファーストウェーブからセカンドウェーブまで
サードウェーブの特長や理念は、第一・第二の波があってこそ生まれたものです。2つの波を簡単に紹介します。
<ファーストウェーブ>1800年代~1970年頃
それまで上流階級の嗜みだったコーヒーが庶民にも身近なものになった時代。ただ、大量生産大量消費が特長で味の探求はあまりなかったようです。1900年代にインスタントコーヒーが開発され、さらにコーヒーメーカーが登場したことで、コーヒーは自宅でも楽しめるものになりました。
<セカンドウェーブ>1970年頃~1990年頃
品質にこだわり、美味しさの追求が増した時代です。シアトル系の深煎りコーヒーが人気になり、カフェラテなどミルクやフレーバーを追加した飲み方が生まれました。また、スペシャルティコーヒーという概念が生まれたのもセカンドウェーブの特長です。
フォースウェーブへ
サードウェーブコーヒーが十分に普及し、近年はさらにフォースウェーブへと発展しつつあるようです。フェアトレードやダイレクトトレードが浸透し、生産者へしっかりと還元されるシステムが進んでいます。コーヒーの味わい方では、窒素を加えながらコーヒーを注ぐ「ニトロコーヒー」など新たな味わい方が登場しています。さらに、コンパクトな焙煎機の登場により、自宅で焙煎から自分好みの味を作れるように。
2.サードウェーブコーヒーの特長とは
続いて、サードウェーブコーヒーの4つの特長であるシングルオリジン、浅煎り、ハンドドリップ、ダイレクトトレードについて詳しく説明します。
産地の特性が生きるシングルオリジン
シングルオリジンコーヒーとは、生産地域を限定、かつ明確にしたコーヒーのこと。国や地域、銘柄といった大きなカテゴリーではなく、1つのエリアや1つの農園、1人の生産者、1つの苗木など小さいカテゴリーに限定されます。パッケージには、国名や銘柄だけでなく、農園名や生産者名なども記載されます。シングルオリジンコーヒーの良い点は、品質にブレが少なく高品質なコーヒーを安定して楽しめるところです。
シングルオリジンコーヒーの中でも、1つの農園に特定したものをシングルエステートコーヒーと呼びます。その農園特有の風味を楽しめるだけでなく、作ってくれた人々に想いを寄せられる、正に生産者の顔が見えるコーヒーです。農園で生産されてから私達が飲むまで、その経路がはっきりとわかることが強みです。
酸味際立つ浅煎りコーヒー
サードウェーブコーヒーの味わいの特長は、浅煎りコーヒー豆で淹れたコーヒーのくっきりとした酸味。セカンドウェーブの特長である深煎りコーヒーと大きく異なる味わいです。コーヒー豆本来の酸味をしっかりと味わえると好まれている飲み方です。コーヒーの酸味=酸っぱさと捉えて敬遠する人もいるようですが、コーヒー本来の酸味は果実由来のフルーティさを感じると言われています。
丁寧に淹れるハンドドリップ
サードウェーブコーヒーは、基本的に1杯ずつ丁寧にハンドドリップで淹れます。エスプレッソマシンや独自のコーヒーマシンで淹れるコーヒーショップも多い中で、淹れ方にもこだわりハンドドリップする点が特長です。日本の古き良き喫茶店と通じるところがありますね。
生産者を守るダイレクトトレード
ダイレクトトレードは、生産者からコーヒーショップや消費者へ、仲介者の手を介さずに流通することです。仲介料が不要となり、生産者にしっかりと料金が支払われます。これまでは、仲介者が不適正な価格でコーヒー豆を買い取ることも多く、たびたび問題視されていました。直接的な取引により生産者へと適正な利益が還元され、さらには高品質の維持・向上を図りながらコーヒー生産を継続できる体制作りが、サードウェーブの重要なテーマです。サスティナブルな社会を推進する波が、コーヒー業界にも訪れています。
3.サードウェーブコーヒーを自宅で楽しむ
サードウェーブコーヒーを自宅で楽しむコツを紹介します。浅煎りコーヒーの特長をおさえた丁寧なハンドドリップがポイントです。
準備するもの
材料は、シングルオリジンコーヒーを用意します。こだわりのコーヒー豆を使用、販売しているコーヒーショップや通販などで購入可能です。挽きたての香りや風味を味わうのが醍醐味なので、自分で挽くのがおすすめ。コーヒー粉を利用する場合は1ヵ月で飲みきれる量だけを購入しましょう。準備する道具は、普通のハンドドリップコーヒーを淹れる時と同じです。
・サーバー
・ドリッパー
・フィルター
・コーヒーケトル
・ミル
淹れ方
コーヒーを淹れる前に、まずはコーヒー豆を挽きます。コーヒー豆は、挽いた時が最も香り豊かなので、挽きたてを使うのがベストです。淹れる前に必要な分だけを挽いてください。
<淹れ方>
1.ドリッパーにフィルターをセットし、コーヒー粉を入れる。
2.少量のお湯を注ぐ。93度程度のお湯がおすすめ。
3.10秒〜20秒蒸らす。
4.2湯目を多めに注ぐ。
5.3湯目以降、コーヒー粉が沈み込みそうになったら少量注ぐのを繰り返して抽出する。
ポイント
コーヒーは、浅煎りと深煎りとでは味だけでなく比重が異なります。浅煎りの方が深煎りよりも比重が重く、お湯を注いだときにコーヒー粉が沈み込みやすいです。そのため、コーヒー粉が沈み込む前に手早くお湯を注ぎ足すことがポイントです。
酸味はコーヒー成分の中でも早く抽出されます。ドリップに時間をかけるほど酸味が出すぎてしまうでしょう。2湯目で調節します。2湯目をたくさん注げば注湯回数が減って抽出時間が短くなり、さっぱりとした酸味に。反対に、2湯目を少しだけ注げば注湯回数が増えて抽出時間が長くなり、酸味がしっかりします。
4.サードウェーブコーヒーの酸味を楽しもう
コーヒー豆の品質向上はもちろん、生産者から消費者に至るまでの適正なシステムなど、サードウェーブコーヒーは社会の方向性を反映したものです。今後、さらに自分好みの味わいを追求する波が広まっていくでしょう。コーヒーの歴史を思いながら、お好みの酸味でサードウェーブコーヒーを楽しんでください。
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