コーヒーと一言でいっても、苦味が強いタイプやとても甘いタイプなどいろんな味がありますよね。どんなコーヒーを飲もう?と考えるときも、「ドリップコーヒー」「エスプレッソ」「ブレンドコーヒー」などの名前を見て違いが分かりにくかったことはありませんか?
エスプレッソとは、短時間でコーヒー豆の旨みをぎゅっと絞る抽出方法とそのコーヒーのこと。味のバリエーションが豊富でいろんなアレンジができるので、お家でのコーヒータイムを飽きさせない魅力があります。
ここでは、
「エスプレッソとは?」
「ほかのコーヒーと何が違う?」
「おいしく味わうには?」
と気になるあなたへ、エスプレッソの基礎知識やドリップコーヒーとの違いをご紹介。風味も雰囲気も楽しめるおいしい淹れ方や飲み方、アレンジレシピもお届けします。
Index
1.エスプレッソとは?
圧力で旨みをぎゅっと凝縮する抽出方法&コーヒーのこと
エスプレッソとは、コーヒー豆を挽いたコーヒー粉をマシンへセットし、高い圧力をかけてコーヒーを抽出する方法とそのコーヒーのこと。
器具はエスプレッソマシンを使い、短時間で効率の良い抽出が可能です。
できあがりは「色が濃くて苦そう」と思われがちですが、抽出に時間をかけないためコーヒーの雑味は出てきません。コーヒーの旨みが引き出され、酸味や苦味のバランスが良いコク深い味が楽しめます。
コーヒーの抽出方法は、
・透過式|お湯を通して抽出する方法
・浸漬式|お湯に漬け込んで抽出する方法
などがあります。そのうち、透過式のエスプレッソは「短時間でぎゅっと絞る」というイメージ。お湯に触れる時間が短いながらも、コーヒーの成分は圧力によって濃厚に抽出されます。
エスプレッソの歴史・語源
コーヒーといえばエスプレッソ!と、多くの人から認識されているのがイタリアの地。20世紀の初め頃にイタリア・ミラノで発明され、現在は先進国を中心に世界中で広がりを見せています。
日本でも、コーヒーの濃い味を好む人にはもちろん、エスプレッソにたっぷりのミルクを入れた「カプチーノ」や「カフェラテ」として人気急上昇!エスプレッソのみを扱うカフェやメーカーなどもあります。
エスプレッソ(espresso)の語源は、「急行」「特別な」。素早い抽出でできあがったコーヒーには、「飲む人のためだけに作られた特別な1杯」という意味が込められています。
2.エスプレッソとドリップコーヒーの違い
「ドリップしたコーヒーなら味が分かるけど・・・」
「ドリッパーなら使ったことがあるけど・・・」
エスプレッソとドリップコーヒーを比べながら、できあがりの風味や見た目をイメージしてみましょう!
比較表
味・濃さ
ドリップコーヒーで使うコーヒー豆と比べて、焙煎度の高い深煎り豆を極細挽きにして使うエスプレッソ。味や香りが濃厚で、コーヒー本来のコク深い味わいです。
一方、ドリップコーヒーは、コーヒー粉の量・焙煎度・ドリッパーの種類・お湯を注ぐスピードなどによってコーヒー粉とお湯の接触時間が大きく変化。安定した味を出すのが難しいといわれています。
できあがりの量
1度のドリップで抽出できるコーヒーの量は、8~12gのコーヒー豆で120~150ml。一方、エスプレッソは6~12gのコーヒー豆で25~30mlだけしか抽出できず、比べると5~6倍の差があります。
できあがったエスプレッソは、肉厚で小ぶりな容量の少ない「エスプレッソカップ」に注ぐのが一般的。「3~4口でクイッと飲み、アフターテイストの余韻に浸る」のが本場の楽しみ方です。但し、お店によっては飲み易く湯量を増やし、エスプレッソコーヒーとして提供する店もあるのでこの限りではない。
淹れ方・抽出器具
エスプレッソを淹れるには「エスプレッソマシン」という専用の器具が必要。
・セミオート|自分でコーヒー粉を平らにならしてセットする
・フルオート(全自動)|コーヒー豆をセットしてミル挽きもすべて行ってくれる
機能はこのように大きく分けて2種類あり、アウトドアに便利な直火式エスプレッソマシン(マキネッタ)などもあります。
一方、ドリップにはペーパードリップやネルドリップがあり、紙や布を使ってお湯でろ過しながらコーヒーを抽出するのが一般的。「コーヒーメーカー」という抽出機械もありますが、圧力を瞬間的・強制的にかける構造ではないためエスプレッソの抽出はできません。
見た目
ドリップコーヒーは注いだときの泡立ちはあるものの、見た目は至ってシンプル。一方、エスプレッソは以下の3層で構成され、上質なものはキレイに分かれています。
・クレマ|1番上にあり、味・香りを含む濃密な泡。ゴールデン・ブラウン色で、ミルクのようにきめ細かい。
・ボディ|中間にあり、口に含んだ際に感じる深いコクやボリュームが凝縮された部分。キャラメル色で、焙煎度によって味わいが異なる。
・ハート|1番下にあり、抽出したて・余韻を残す香りが詰まっている部分。ダークブラウン色。
3.エスプレッソはバリエーション豊富で飽きない!
ドリップコーヒーと比べて、コーヒーの濃厚な味が楽しめるエスプレッソ。その分、ミルクや砂糖などの甘いものとの相性が良く、さまざまな量でいろいろな味が作れます。
自分で淹れるときも、シンプルなエスプレッソに飽きたらアレンジし放題♪種類を簡単に紹介しますので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
カフェ・ラテ(caffe Latte)
【割合】エスプレッソ:スチームドミルク=2:8
抽出したエスプレッソに、スチームドミルク(泡が立たないように温めたミルク)をたっぷり加えたもの。苦味のコクがありつつも、ほのかな甘みが感じられます。
カプチーノ(cappuccino)
【割合】エスプレッソ:スチームドミルク:フォームドミルク=1:1:1
抽出したエスプレッソに、スチームドミルクとフォームドミルク(泡立てたミルク)をたっぷり加えたもの。上層の泡が特徴で、エスプレッソの苦味を堪能しながら甘くてふわふわとしたミルクが食べられます。表面に描かれたイラストや文字をラテアートと呼びます。
カフェ・マキアート(caffe macchiato)
【割合】エスプレッソ:フォームドミルク=9:1
抽出したエスプレッソに、フォームドミルクをスプーン1杯程度浮かべたもの。エスプレッソの苦味にまろやかさがややプラスされます。マキアートはイタリア語で「染みを付ける」という意味があり、表面のミルク跡が染みに似ていることから名づけられました。
キャラメル・マキアート
【割合】エスプレッソ:スチームドミルク=2:8+キャラメルシロップ
カフェラテを作り、仕上げにキャラメル味のシロップで味付けをしたもの。シロップの量を調整しながら、好みのキャラメル味が楽しめます。
カフェ・モカ(cafe mocha)
【割合】エスプレッソ:スチームドミルク:チョコレート=2:7:1
抽出したエスプレッソに、温かいミルクとチョコレートを少量加えたもの。コーヒーの風味がしっかりとありつつ、チョコレート特有の甘さと苦味も感じられます。
エスプレッソ・アメリカーノ
【割合】エスプレッソ+お湯=10+適量
抽出したエスプレッソに、お湯を加えて割ったもの。コーヒーの苦味・濃さが和らぎ、口あたりが柔らかく後味がすっきりします。お湯の量はお好みでOK。
フラットホワイト
【割合】エスプレッソ+スチームドミルク:フォームドドミルク=4:3:3
抽出したエスプレッソに、それぞれのミルクを半分ずつ加えてよく混ぜたもの。カフェラテやカプチーノより泡が少なく、甘さは控えめでエスプレッソの味が強く感じらます。
エスプレッソトニック(espresso tonic)
【割合】エスプレッソ:トニックウォーター=1:3
氷をたっぷり入れたグラスに、トニックウォーター(炭酸水)・抽出したエスプレッソの順で加えてかき混ぜたもの。コーヒーの苦味と炭酸のしゅわしゅわ感は相性が良く、のどごしさっぱりのコーヒー味が楽しめます。
アフォガート(affogato)
【割合】エスプレッソ+アイスクリーム=10+適量
器に入れた冷たいアイスクリームに、カップへ抽出しておいた熱々のエスプレッソを注いだもの。クリーミーな甘みとコーヒーの濃い味が絶妙にマッチした簡単に作れるスイーツです。アイスクリームの味はお好みでOK。
4.エスプレッソのおいしい作り方
エスプレッソは、加えるものによっていろんな味が楽しめそうですよね。
でも、おいしく味わうには「エスプレッソ」を上手に作ることが大切!
・エスプレッソに使うコーヒー豆は?
・エスプレッソマシンはどれがいい?
・手順は?
この疑問を解決していきましょう。
エスプレッソ豆の選び方
エスプレッソ用のコーヒー豆は、ドリップで抽出するコーヒー豆より焙煎が深いもの(中煎り~深煎り)を使うのが一般的です。
コーヒー豆にはいろいろな種類・焙煎度・産地がありますが、エスプレッソに使うときはどのように味わいたいかで決めるのがポイント。
・カフェラテやカプチーノを飲みたい
・寝起きの目覚まし用にクイッと飲みたい
・エスプレッソそのものの風味を楽しみたい
・食後のコーヒーとして飲みたい
・甘いケーキと合わせたい
それぞれに合うコーヒー豆を見つけるのもコーヒーライフの楽しみの1つです。
種類の特徴は以下を参考にしてくださいね。
エスプレッソマシンの選び方
エスプレッソマシンには、上記でご紹介した機能(全自動・セミオート・直火式など)のほかにもいろいろな種類があります。
家庭用のエスプレッソマシンを選ぶなら、以下の4つのポイントも要チェック!
・サイズ
・デザイン
・抽出数、圧力
・ボイラーの種類
ドリッパーに用いる器具と比べて大きく重量もあり、存在感たっぷりのエスプレッソマシン。
「どこへ設置するか」
「1度に何杯作りたいか」
「ミルクを同時に温めたいか」
と、購入前にイメージするのがおすすめです。
主な手順
基本のおいしい作り方をみていきましょう。
ここでは、全自動のエスプレッソマシンを使用します。
1.専用タンクに水を入れ、電源スイッチをONにする
2.グラインダーで計量したコーヒー豆を挽く
3.できたコーヒー粉をホルダーに入れる(ドーシング)
4.ホルダーの側面を軽く叩きながら粉を平らにならす(レベリング)
5.タンパーで、ホルダー内のコーヒー粉をキレイに押し固める(タンピング)
6.抽出口の洗浄と温めるため、抽出ボタンを押して1度湯通しをする
7.マシンにホルダーをセットし、カップを置いて抽出をする
8.完成
味の決め手はタンピング
エスプレッソの味を左右するポイントは、⑤の「タンピング」。ホルダーに入れたコーヒー粉の密度を均一にする作業のことで、プロのバリスタでもスキルによって違いが出るほどコツをつかむのが難しい部分です。
タンピングでは「タンパー」という圧力をかけるための道具で押し固めますが、その押し加減・体重の乗せ具合がとても重要。強すぎると粉が詰まった状態になり、お湯との接触時間が長く、コーヒーの苦味や渋みが強く出たエスプレッソに。反対に、弱すぎるとお湯の浸透時間が短くなり酸味が強く出ます。
5.正しい飲み方で本場イタリアの雰囲気を味わおう
エスプレッソを楽しく味わうために、せっかくですから本場イタリアの雰囲気も感じてみませんか?
手順
1.シュガースプーン山盛り1杯分の砂糖をカップにやさしく入れる
2.クレマを崩さないようにゆっくりとかき混ぜる
3.3~4口で飲み干す
たったこれだけの作法ですが、正しい飲み方を取り入れるだけであなたが一段とかっこよく見えますよ。
ポイント
エスプレッソは量が少ない分、冷めやすいのがデメリット。キレイな層ができてもすぐに消えてしまうので、サッと飲み干すのがポイントです。
また、エスプレッソに何も入れない考え方がある日本と比べて、イタリアでは砂糖を加えるのが主流。クレマを崩さないように、いかにサラサラ入れられるかどうかで見た目のかっこよさも決まります。
入れた砂糖は、サッとかき混ぜるだけでOK。飲み終わったカップに残ったところをスプーンですくって食べるのも楽しみの1つです。
6. まだまだ楽しめる!エスプレッソのアレンジメニュー
エスプレッソには、ほかにもアレンジメニューがたくさん!代表して5つご紹介しますので、あなたのお気に入りのメニューにぜひ加えてくださいね。
マロッキーノ
【材料】(1人分)
・エスプレッソ|30ml
・ミルクフォームド|50ml
・チョコレート|適量
・ココアパウダー|適量
【手順】
1.エスプレッソをカップに抽出する
2.別のカップにチョコレートを入れる
3.ミルクフォームドを作り、2のカップに注ぐ
4.3にエスプレッソをやさしく注ぎ、ココアパウダーを振りかけて完成
エスプレッソの茶色・ミルクの白色に、チョコレートやココアパウダーの黒っぽい色が混ざってキレイな見た目のメニューです。
キャラメルコーヒーブリュレ
【材料】(1人分)
・粉ゼラチン|小さじ1
・水|大さじ1
・生クリーム|200ml
・エスプレッソ|30ml
(キャラメルソース)
・グラニュー糖|100g
・水|50g
【手順】
1.粉ゼラチンに水を加えて溶かす
2.生クリームと抽出したエスプレッソを火にかけ、砂糖を入れてよく混ぜる
3.沸騰寸前で泡が立たない程度に混ぜ合わさったら火を止める
4.1のゼラチンを入れてよく混ぜ、火からおろす
5.キャラメルソースを作り、大さじ1杯分先に器へ流し入れる
6.4を流仕入れる
7.そのまま冷やして完成
暑い日に少しコッテリしたサラッと食べられるデザートメニュー。ゼラチンの量を減らすとプルプルな食感も楽しめます。
麹甘酒ラテ
【材料】(1人分)
・麹甘酒|80ml
・牛乳|100ml
・エスプレッソ|30ml
・シロップ|お好み
・氷|適量
【手順】
1.エスプレッソを作り冷ましておく
2.大きなグラスに麹甘酒を注ぎ、氷を上まで入れる
3.牛乳をゆっくり層になるように、氷にあてながら注ぐ
4.1のエスプレッソを氷に当てながら注ぎ、お好みでシロップを加えて完成
ほんのり甘い大人のメニュー。氷に当てながらゆっくり細く注ぐと、キレイな3層ができあがります。
7.お家でおいしい本格エスプレッソを
マシンの力で一気にコーヒーを抽出するエスプレッソ。ゆっくりと時間をかけて淹れるドリップコーヒーと比べて、雑味がなく濃厚でコク深い後味が口の中で続く飲み物です。
お家で作れば、淹れたて熱々のおいしいエスプレッソが完成!そのまま数口で飲んでもOK、ミルクや砂糖を自由に加えながら、好みの甘さやテイストを見つけるのもGOODです!
【おすすめ記事】
【必見】珈琲のプロたちのこだわりがわかる「珈琲人名鑑」はこちら
【関連記事】カフェモカで本格コーヒーの甘さ・苦さを楽しもう!おいしい飲み方&作り方