夏にゴクゴク飲みたい「水出しコーヒー」。近年は大手飲料メーカーがペットボトルの水出しコーヒーを発売するなど、年々注目が高まりつつあります。この記事では水出しコーヒーについて、その特徴や歴史、抽出器具、家庭で手軽に作る方法を紹介します。
1.そもそも水出しコーヒーとは?その特徴
水出しコーヒーとは、コーヒー豆を水に浸してゆっくりと抽出したコーヒーのことです。お湯で抽出するのとは異なり、コーヒーの苦みや渋みのもとになる成分が抽出されにくいので、マイルドな味わいが特徴です。
熱を加えていない水出しコーヒーは、お湯で抽出したコーヒーと比べて酸化しづらく、香りや風味を保ったまま保存が可能。ただし熱殺菌してないので、賞味期限は3日と言われています。
水出しコーヒーは冷たい状態で飲まれることが多いので、「アイスコーヒー=水出しコーヒー」と混同されることがありますが、同じではありません。アイスコーヒーは冷たいコーヒーの総称、そのなかでも水でゆっくりと抽出したものが水出しコーヒーです。
水出しコーヒーは「ダッチコーヒー」や「コールドブリュー」と呼ばれることもあります。名称は違っても、水でゆっくりと抽出するコーヒーという点で変わりはありません。
昨今では、水出しコーヒーの人気により、専用のコーヒー器具や、水出しコーヒーを手軽に楽しめる商品も発売されています。その一例がコーヒー粉が詰められた「水出しコーヒー用のバッグ」です。そのバッグを家庭にある水筒やピッチャーなどのポットに入れて置いておくだけで、手軽に水出しコーヒーを作ることができます。
2.水出しコーヒーの歴史
水出しコーヒーはインドネシアが発祥と言われています。16世紀ごろからオランダの統治下にあったインドネシア。当時栽培されていたロブスタ種のコーヒーは苦味やえぐ味の強いものであったため、これらはコーヒーを飲む文化がすでにあったオランダ人の口に合わないものでした。
そこで、このロブスタ種のコーヒーを飲みやすくするために、駐在していたオランダ人によって水による抽出法が考案されたと言われています。
のちに、このコーヒーの苦味や雑味をうまく抑えた水出しのコーヒーは、考案者がオランダ人であったことにちなんで、「ダッチ(オランダの)コーヒー」と呼ばれるようになりました。
3.水出しコーヒーを作る器具
水出しコーヒーを作る器具は、滴下式のものと浸漬式のものに分けられます。これらの違いと特徴について紹介します。
【滴下式】点滴抽出により旨味が凝縮されたコーヒーに仕上がる水出し器
滴下式抽出法で水出しコーヒーを作る水出し器は、たっぷりのコーヒー粉をロートに入れ、ロート上部に設置した水タンクからポタポタと水を滴下してコーヒーを抽出するコーヒー器具。水を1滴ずつ落としてじっくり抽出するので、しっかりと旨味が凝縮された味わいに仕上がります。
また、「カリタ ウォータードリップ ムービング(※2)」のように、コーヒー粉や水の量のほか、滴下速度を調整できるものもあります。抽出条件を合わせることで、安定した味を引き出すことができます。
レトロでインテリアにもなる見た目もおしゃれですし、一滴一滴、じっくりコーヒーが抽出されるのを眺めるのも楽しいですよ。
【浸漬式】冷蔵庫に入れて待つだけ、手軽なフィルターインボトル
コーヒー粉を水に浸す浸漬式の抽出方法で、手軽に水出しコーヒーを作ることができるのがフィルターインボトルです。
フィルターインボトルの使い方はとても簡単。例えば、「ハリオ フィルターインコーヒーボトル(※2)」はボトル内部のストレーナーにコーヒー粉を入れて水を注ぎ、あとは冷蔵庫にいれて待つだけ。
自宅でも手軽に作ることができるので、ゴクゴク飲みたい夏の間はもちろん、お客様が自宅にくるときなど、おもてなし用にも活躍。夜のうちに用意しておくと、時間のない朝でも本格的な水出しコーヒーを楽しむことができます。
4.水出しコーヒーを作ってみよう!
水出しコーヒーの作り方はとてもシンプル。先ほど紹介した器具を使ってもよいですが、家庭にあるものだけでも簡単に作ることができます。今回は、家庭にあるものだけで水出しコーヒーを作る方法と美味しく作るコツを紹介します。
用意するもの
水出しコーヒーを作るために必要なものは以下のとおりです。
・コーヒー粉
・茶葉用のパック
・常温の水
・ピッチャー(麦茶用のボトルや、コーヒーサーバーなどでOK)
水出しコーヒーの作り方
今回は、深煎りの豆を使ったレシピを紹介します。お手軽に、お店のような本格的な味わいの水出しコーヒーを作ることができます。
1. 深煎りのコーヒー粉約100g(中挽き)を茶葉用のパックに入れて綴じる
2. ピッチャーの中に1のパックを入れて、常温の水1リットルを静かに注ぐ
(※ピッチャーのサイズに合わせて、コーヒー粉と水の量は調整してください)
3. 冷蔵庫で7~8時間ほど置き、パックを取り出したら出来上がり
しっかりと風味を抽出したい場合は、冷蔵庫に入れる前に常温で1時間ほどおいておくのがおすすめです。深煎りの豆を水でじっくり抽出することで、雑味や過度な苦味は抑えながら、風味豊かなコーヒーに仕上げることができます。
5.水出しコーヒーを美味しく楽しむコツ
水出しコーヒーをより美味しく楽しむポイントは、何より抽出時間を守ること。抽出が終わったらすぐにコーヒーのパックを取り出しましょう。パックをピッチャーに入れたままにすると、コーヒーの苦味やえぐみまで抽出されてしまいます。
コーヒーの微粉が気になるようであれば、グラスに移す前に一度ドリップ用のペーパーフィルターで濾すのがおすすめ。より口当たりの良い味わいになります。
もし浅煎りの豆を使って水出しコーヒーを作る場合は、やや挽き目を粗くしたコーヒー粉を入れて、抽出時間を少し長めに設定すると、バランスよく仕上がります。
水出しコーヒーは、アイスコーヒーを楽しむ抽出方法として手軽に作れることに加え、分量や時間などによって味を調節しやすいのでコーヒー初心者でも安心して美味しく作ることができます。ぜひお気に入りのコーヒー豆で、夏にぴったりの美味しい水出しコーヒーを楽しんでくださいね。