鮮やかな深緑色の葉で観葉植物としても人気の高いコーヒーの木。上手に育てると可愛らしい白い花や、チェリービーンズと呼ばれる赤い果実を楽しむことができます。育てやすいといわれるコーヒーの木ですが、お手入れ方法を間違うと根腐れや葉枯れの原因となります。コーヒーの木の種類や育て方、お手入れ方法などポイントをご紹介します。
1.コーヒーの木とは?特徴と種類を知ろう
深緑色で鮮やかな葉が美しいコーヒーの木は、アカネ科コフィア属に属する熱帯植物です。豊富な種類の中から「3大原種」といわれるコーヒーの木についてご紹介します。
1-1.コーヒーの木の特徴
コーヒーの木は熱帯アフリカやマダガスカル周辺、マスカリン諸島周辺に自生しています。コーヒーの木が生息するには雨や日当たり、温度、土質などの条件が必要です。それらを満たしているのが、赤道を挟んで北緯25度から南緯25度までの「コーヒーベルト」と呼ばれる地帯です。
一年を通して光沢のある深緑色の鮮やかな葉っぱを茂らせ、ジャスミンのような白い花とチェリーのような赤い果実を実らせます。熟した果実は赤紫色になり中にある2個の種がコーヒー豆となります。
1-2.コーヒーの木【3大原種】
アカネ科のコーヒーノキ属に分類されるコーヒーの木には、3大原種といわれるアラビカ種、ロブスタ種(カネフォラ種ロブスタ)、リベリカ種があります。現在では品種改良され40種類以上のコーヒーの木が存在しています。
その中でも一般的なレギュラーコーヒーとして使用され、もっとも流通しているのがアラビカ種です。また、観葉植物として流通しているコーヒーの木も、多くはエチオピア産のアラビカ種ですが、まれにブルーマウンテン種が手に入ることもあります。
1-3.アラビカ種
エチオピア原産で最もポピュラーな種類であり、世界で最も多く栽培されています。アラビカ種は品種が多くティピカ種やブルボン種、スマトラ種など様々な種類があります。栽培地域や標高などにより香りや味が違います。
アラビカ種は高地で栽培され、収穫できるまでに5~6年かかるといわれています。また、病気や害虫に弱く、気温などにも影響を受けやすいのが特徴です。栽培条件が難しいアラビカ種ですが、どの原種よりもコーヒーの味がおいしく、品質も高いとされています。
1-4.カネフォラ種(ロブスタ)
三原種の一つと言われていますが、正式にはコンゴ原産のカネフォラ種の栽培品種です。酸味や苦みの強いコーヒー豆ですが、成長が早くコーヒー豆の収穫量が多いため、生産量の3~4割を占めています。
少量の豆でも抽出される量が多いのでインスタントコーヒーの原料や缶コーヒーとして使われています。高温多湿の気候にも馴染みやすく、低地でも栽培でき、病気や害虫にも強いのが特徴です。
1-5.リベリカ種
西アフリカ原産のリベリカ種は、世界でも一部の地域でしか栽培されていないため、生産量が最も少なく日本ではほとんど馴染みがありません。リベリカ種の栽培条件は厳しくはないのですが、コーヒーの天敵であるサビ病に弱いという特徴があります。
また、10m以上の大木に成長するためコーヒー豆の収穫が難しいことや、交配しやすいため品種の固定がしにくいこと、豆の大きさにばらつきがあるため焙煎しにくいなども原因となっています。
2.観葉植物としても人気。コーヒーの木の育て方
乾燥や暑さに強く比較的育てやすいため観葉植物としても人気のあるコーヒーの木。上手に育てられれば、コーヒー豆を収穫する楽しみもあります。
2-1.置き場所を決めよう
・コーヒーの木に適した環境とは
コーヒーの木は亜熱帯地方に生息しているため日当たりのいい場所と思われがちですが、真夏の直射日光には弱く葉焼けをおこします。コーヒーの木は日光を好みますが、葉焼けもおこしやすい植物なのです。ですから、日光が強くなる夏場は遮光ネットなどを使って調節することも必要です。
・室内に置くなら
コーヒーの木を長く楽しむためには直射日光の当たらない場所がおすすめです。強すぎる日差しは葉焼けの原因になるだけでなく、室内では温度が高くなりすぎてしまいます。日差しの強い夏場はレースのカーテンなどを使うと葉焼け予防になります。
若い株のうちは耐陰性があるため、ある程度は暗い場所でも成長しますが、1日のうち数時間は日光に当ててあげましょう。
・寒い冬は置き場所を変えよう
亜熱帯育ちのコーヒーの木は寒さが苦手です。窓から伝わる冷気も葉が枯れる原因になるため、冬は部屋の中央など窓から距離をとってあげましょう。ただし、日光不足にならないように注意して下さい。
また、厚手のカーテンなどを引いたり、鉢を段ボールなどで覆ったりなども、夜間の防寒対策として効果的です。
2-2.必要なものを準備しよう
・コーヒーの木
観葉植物としても人気があるためグリーンショップやホームセンターの他、雑貨店や100円ショップなどでも販売されています。長いあいだ暗い場所に保管されていると、間延びして下の葉が落ちてしまいます。株を選ぶ時は葉の色が鮮やかで、葉数の多い木を選ぶのがおすすめです。
・一回り大きい鉢
新しく購入したコーヒーの木は、一回り大きな鉢に植え替えてあげると、根詰まりを防ぐだけでなく、水やりの手間が減り、成長も活発になるためおすすめです。
根詰まりすると成長が衰えるだけでなく、株の上部だけに葉があるような姿になってしまいます。植え替えの時期は5月~8月で、1~2年おきに一回り大きな鉢に植え替えてあげましょう。
・水はけのよい土
コーヒーの木は通気性と水はけのよい土を好みます。自分で用土を配合することもできますが、市販の観葉植物用の培養土などを使うのがお手軽でおすすめです。
・ジョウロや霧吹き
ジョウロは水やりをする時に使います。根元だけでなく土全体にまんべんなく水をかけるのに便利です。霧吹きは葉水をする時に使います。気温が高くなる夏場や空気が乾燥する冬は、葉水をしてあげるのがおすすめです。
2-3.水やりと肥料
・春、秋
土が中まで乾燥したら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与えます。水が中まで十分に浸透しているのか判断するには、鉢を持ち上げてみるのが簡単です。受け皿に溜まった水は、根腐れの原因となるので必ず捨てて下さい。
・夏
気温が高くなる夏場は土の表面が乾いたら水を与えます。生育旺盛になるため水切れしないように注意しましょう。霧吹きでの「葉水」も効果的です。
・冬
気温が低くなる冬は根腐れしないように水のやり過ぎに注意しましょう。土の表面が乾燥して4~5日たってから水を与えます。水道水は冷たすぎるため室温にもどし、気温が低い朝よりも気温の上がる10~11時ころが適しています。暖房で乾燥しやすい冬場は、こまめに葉水をしてあげるのもおすすめです。
・肥料
5月~10月の成長期に緩効性の肥料を与えます。夏場に気温が高くなりすぎる時期は生育が衰えるため肥料は控えた方がいいでしょう。また室内の場合、有機肥料は臭いや害虫の発生元となるため注意して下さい。
3.毎日のケアでコーヒーの木を元気に
鮮やかな深緑色の葉っぱも素敵ですが、上手に育て1mを超えると白い花を咲かせてくれます。毎日のお手入れでコーヒーの木と仲良くなりましょう。
3-1.毎日のお手入れ方法
毎日のお手入れとして濡れた布で葉っぱを拭いてあげるのがおすすめです。ホコリがとれて光合成がしやすくなります。また、夏場の成長期には外や浴室などで葉の裏側までしっかり水をかけてあげると、汚れや害虫を流すことができます。
枝葉が混み合って風通しが悪くなると病気や害虫が発生しやすくなります。葉の裏側まで毎日チェックしましょう。間引き剪定すると風通しがよくなり病気や害虫の予防になります。
4.インテリアとしてもおすすめ。コーヒーの木を育ててみよう
手に入りやすく育てやすいコーヒーの木は、初心者にもおすすめの観葉植物として人気です。鮮やかな深緑色が美しくお部屋のインテリアとしてもぴったりです。
また、上手に育てると可愛らしい花が咲き、コーヒー豆を収穫できる楽しみもあるので、コーヒー好きな人におすすめです。是非、コーヒーの木を育ててみてはいかがでしょうか。