喫茶店のコーヒーの香りはとても心地良いものですが、エスプレッソを初めて注文したときにその器の小ささに驚かれた人は多いでしょう。喫茶店などで提供されるエスプレッソのコーヒーの器は、一般的なコーヒーカップに比べ小さく、このカップをデミタスカップといいます。この記事ではデミタスカップについての基礎知識や選び方を紹介します。
1.デミタスカップの基礎知識
まずはデミタスカップの意味や由来、エスプレッソカップとの違いについて解説します。
デミタスの意味
デミタスはフランス語の「半分(デミ)」と「カップ(タス)」からきています。容量が一般的なコーヒーカップの半分であることから、デミタスカップと呼ばれるようになりました。フルコースの食事などで用いられることが多いです。
デミタスの由来
デミタスカップはイタリアのカフェから誕生しました。1806年にフランス植民地からコーヒー豆の輸出が規制され、欧州は極端なコーヒー豆不足に陥りました。イタリアのカフェでは、厳しい状況の中コーヒー豆の消費を抑えるためにコーヒーの量を減らし、カップを小さめに。デミタスカップは、少量のコーヒー豆でコーヒーを楽しむために生まれました。
デミタスカップとエスプレッソカップの違い
デミタスカップはエスプレッソを飲む際に用いられることが多いため、エスプレッソ専用のカップと思われがちですが、エスプレッソ専用というわけではありません。エスプレッソには、「エスプレッソカップ」という専用のカップがあります。
エスプレッソカップは、エスプレッソだけを飲むのに適したカップです。20~30mlや45~60mlの大きさのカップがあり、エスプレッソを美味しく楽しめる構造をしています。ただしとても小さいカップなので、エスプレッソを楽しむだけのカップとなります。デミタスカップとエスプレッソカップは大きさが違いますが、エスプレッソはどちらのカップでも楽しめます。
2.デミタスカップに入れるコーヒーの種類
デミタスコーヒーはネルという布からできたフィルターを使って抽出します。コーヒー豆を深煎りで焙煎し、中挽き~粗挽きのコーヒー粉を用います。初めてネルフィルターを使うときは、水洗いをしてコーヒー液で20分ほど煮てから使うと、コーヒーを抽出しやすくなります。
ネルフィルターはセット前に、一度お湯に通し、水気を切ってシワを伸ばしてから使います。お湯の注ぎ方はペーパーフィルターと同じです。80~90℃のお湯で抽出していき、旨味成分が多いとされている70~80mlの部分がデミタスコーヒーとなります。通常のコーヒーの約4倍の濃さがあるといわれています。
エスプレッソ
エスプレッソとは深煎りで微細に挽いたコーヒー粉を専用のマシンにセットして、圧力によって抽出されたコーヒーのこと。30秒ほどの短い時間で圧力をかけながらコーヒーを淹れることによって、コーヒーの香りや旨味を引き出すことができます。1杯30mlほどと少量ではありますが、コーヒーの美味しい味が凝縮されています。
デミタスコーヒーとエスプレッソの大きな違いは、加圧です。エスプレッソを作る器具には直火式と電気式があり、誰でも簡単に作れるものや業務用と同レベルのものまで、さまざまな種類の器具が販売されています。使用頻度や目的を考え、ご自分に合うタイプの器具でエスプレッソを淹れてみましょう。
トルココーヒー
3.デミタスカップの選び方
デミタスカップは普通のコーヒーカップと違った視点で選ばなければなりません。デミタスカップを選ぶ場合には、デザインはもちろん素材やサイズにも注目しましょう。
素材
デミタスカップの素材には、陶器や耐熱ガラスなどが用いられています。素材はお好きなもので良いですが、少量のコーヒーは冷めやすいため、コーヒーが冷めにくい厚みのあるカップを選びましょう。
デザイン
デミタスカップのデザインには、マグカップのようなものやソーサー付きのタイプ、和柄や可愛いイラストが施されたものなど、たくさんのバリエーションがあります。おもてなし用にはソーサー付きのものを選ぶなど、使う場面のTPOを考えてデザインを選びましょう。
サイズ
デミタスカップは60~80ml程の容量が一般的です。しかしなかには100ml以上の容量のカップもあります。デミタスカップの使い道はコーヒーにこだわる必要はありません。エスプレッソだけを楽しみたい場合は、60~90mlほどの大きさで良いですが、ゼリーやジャム、生クリームなどのスイーツカップとしても使いたい場合は、100ml以上のカップを選びましょう。100ml以上のカップを購入する人のなかには、エアプランツの入れ物としてデミタスカップを活用する人もいます。
4.デミタスカップでコーヒーの楽しみが広がる
小さくてかわいいデミタスカップは、エスプレッソなどの濃いコーヒーを飲む場合に欠かせないアイテムです。ぜひご自分に合ったデミタスカップを見つけて、今まで以上にコーヒータイムを楽しみましょう。