アラビカコーヒーの発祥の地といわれているエチオピア。今回はエチオピアのことやエチオピアコーヒーの品種、エチオピアの伝統的なコーヒーの飲み方などを紹介します。エチオピアのコーヒーのことを詳しく知りたい人はぜひご覧ください。
Index
1.アラビカコーヒー発祥の地、エチオピア
エチオピアは、アラビカコーヒー発祥の地といわれています。まずは、エチオピアの国のことやコーヒーの実の発見伝説、エチオピアコーヒーの特長などを解説します。
エチオピアとは?
エチオピア連邦民主共和国は東アフリカ内陸に位置しており、世界最古の独立国といわれています。面積は約110万㎢で、日本の3倍ほどの大きさです。人口は約1億922万人。国土のほとんどが高地にあり、年間平均気温は13度と、とても涼しい国です。
コーヒーの実、発見伝説
エチオピアの羊飼いの少年がコーヒーの実を発見したという伝説をご存知ですか?コーヒーの起源にはさまざまな諸説がありますが、エチオピアの諸説では、羊飼いの少年が、コーヒーの実を食べているヤギ達を見たことによって、コーヒーの実が発見されたといわれています。
エチオピアコーヒーの生産
エチオピアの国土の多くをアビシニア高原が占めています。アビシニア高原は標高が高く、雨量もあり、気温も20度前後と温暖なため、コーヒー栽培に最適な環境です。アビシニア高原では、野生のコーヒーの木が育つこともあるため、農園だけでなく野生のコーヒーの木からコーヒーの実を収穫することもあります。
エチオピアコーヒーの特長
エチオピアコーヒーといえば、やはりモカでしょう。モカは世界最古のコーヒー豆ブランドともいわれています。モカは爽やかな酸味が特長で、甘味とコクのあるコーヒーです。焙煎度合いによって、風味が変わるのもモカの魅力。浅煎りではモカ特有の香りをしっかりと感じられ、フルーティーな酸味とスッキリとした味わいを楽しめます。深煎りにすると、チョコレートのような深いフレーバーを堪能できます。
2.エチオピアコーヒーの品種
モカには、モカ〇〇といったブランド名が多いです。この〇〇は、モカの産地を示しています。ここではエチオピア産のコーヒーで、世界的にも有名なブランドの特長を紹介します。 ちなみにモカマタリというブランドも有名ですが、モカマタリはイエメン産のコーヒー豆です。
モカシダモ
モカシダモは、エチオピアコーヒーの中でも代表的な存在のブランドです。なめらかな酸味と甘くまろやかな味わいが特長で、フレンチローストなど深煎りの焙煎度合いにすると、コクと苦みを堪能しながら、モカ特有の甘い香りも楽しめます。モカシダモは、ほかのコーヒー豆のアクセントにもなるので、ブレンドにもおすすめです。
モカハラー
モカハラーは標高2,000mの高地で栽培されており、火山灰による恵まれた土質、標高の高さと日当たりの良い斜面、日中の寒暖差など、コーヒーの木の栽培の好条件が揃っています。
モカハラーは通常ロングベリーに分類されますが、大粒のものはボールドグレインに分類され、高級品として扱われます。ボールドグレインに分類されるモカハラーは、酸味がよりマイルドです。
モカイルガチェフェ
モカイルガチェフェは、フルーティーで芳醇な香りと甘さが魅力的なブランドです。コーヒーの苦みが苦手な人でも飲みやすいコーヒーといわれています。モカイルガチェフェは、ゆっくりと時間をかけてコーヒーの実を熟します。時間をかけることで、甘みの強い、美味しいコーヒーの実になるのです。エチオピアの最上級コーヒー豆で、ヨーロッパを中心に輸出されています。
モカイルガチェフェの産地は、水源が豊富です。そのため、モカイルガチェフェの精算処理には水洗式を採用し、丁寧に扱い、清潔に保っています。また水洗浄は特定の精製工場のみに限定するなど、品質を保ち続ける取り組みも行っています。
3.伝統的なエチオピアコーヒー
お気に入りのモカを見つけたら、ぜひ本場の淹れ方でもコーヒーをお楽しみください。エチオピア式コーヒーの淹れ方やエチオピアで飲まれている塩コーヒーについて解説します。
エチオピア式コーヒーの淹れ方
エチオピア式のコーヒーでは、ジャバナという素焼きのコーヒーポットを使ってコーヒーを淹れます。ジャバナに直接コーヒー粉を入れて抽出するので、コーヒー粉は極細挽きにしましょう。ジャバナがない時には、ヤカンで代用しても良いです。
<用意するもの>
ジャバナ(またはヤカン)、水550ml、コーヒー粉 大さじすりきり6杯
<抽出方法>
まずジャバナに水を入れ、沸騰させましょう。沸騰したら火を止め、コーヒー粉を入れます。ふたをせず、4~5分ほど弱火で煮出しましょう。4~5分ほどしたら火を止め、ジャバナを傾けてコーヒー粉を沈めます。
コーヒー粉が沈んだら、カップにお好みで砂糖を2gほどくわえ、少し高いところからコーヒーを注ぎましょう。カップにコーヒー粉が入りにくくなります。コーヒーを注ぎ終えたら、エチオピア式コーヒーの完成です。
エチオピアでは塩コーヒーで飲まれることも
エチオピアにはカリオモンという名の伝統的なコーヒーセレモニーがあります。カリオモンでは、塩をくわえてコーヒーを飲むことも。エチオピアのコーヒー豆であるモカは酸味のあるコーヒーです。エチオピアでは、コーヒーの上澄みだけを飲むのが一般的ですが、上澄みのモカコーヒーはより酸味が強いので、酸味を和らげる方法として塩をくわえる文化ができたといわれています。
4.エチオピアのコーヒーセレモニー「カリオモン」
エチオピアでは、お客様をもてなす時に行う伝統的な習慣があります。エチオピアの伝統的な習慣であるカリオモンについて手順などを解説します。
カリオモンとは?
カリオモンとは、日本で例えると茶道のような習慣のこと。お客様をおもてなしする時に、女性が執り行うセレモニーです。カリオモンには「コーヒーを一緒に楽しむ仲間」という意味があり、ポットやカップなど、カリオモンで使う茶器は、代々受け継がれることもあるようです。
カリオモンの手順
お客様が来たら、まず家の主人がお客様の相手をします。奥様はその間にカリオモンの準備を。床に花を敷き、コーヒーカップを置く台座を用意して、お香を焚きます。
カリオモンの準備ができたら、生豆を洗い、お客様をおもてなしします。洗った生豆を鍋に入れ生豆を煎り、お客様に香りを楽しんでもらいます。しっかりと焙煎でき、コーヒーオイルが滲み出てきたら焙煎は完了です。焙煎を終えたら、コーヒー豆をすり潰します。
ポットに水と細かくすり潰したコーヒー粉を入れ、火にかけてコーヒーを抽出します。コーヒーが沸騰したら、お客様にコーヒーを3杯提供します。1杯目はアボルといい、砂糖をくわえて飲みます。2杯目のトーナには塩を、3杯目にはカルダモンやクローブなどの香辛料、バターなどをくわえます。お客様は3杯飲み終えた後、作ってくれた女性のこととコーヒーの味を褒めるのがカリオモンのマナーです。
カリオモンは大地や家族に感謝の気持ちを込めて行うコーヒーセレモニー。カリオモンは地域や家庭によって、やり方が違うこともあります。実際にカリオモンにお呼ばれした時には、地域や家庭のやり方に合わせて参加しましょう。
5.伝統的な飲み方を知ってエチオピアのコーヒーを堪能しよう
最古のコーヒー豆といわれているモカ。エチオピア式のコーヒーの淹れ方は、日本人には馴染みがありませんが、機会があればぜひ一度本場の淹れ方をお試しください。またカリオモンを実際にしてみるのも楽しいでしょう。1杯目、2杯目、3杯目と異なる風味を味わってみてください。