コーヒーの王様と称されている最高級品質のコーヒー豆、ブルーマウンテン。苦味・酸味・甘味・コクのバランスが良く、日本人が好んで愛してきた味わいのコーヒーです。この記事では、ブルーマウンテンの産地や栽培方法、輸出方法、美味しい飲み方について解説しています。ブルーマウンテンのことや美味しい飲み方を知りたい人はぜひご覧ください。
Index
1.ブルーマウンテンの産地や歴史
まずはブルーマウンテンの産地や歴史を解説します。
産地
ブルーマウンテンのコーヒーの木は、ジャマイカにあるブルーマウンテン山脈の内側で栽培されています。ブルーマウンテン山脈の内側をブルーマウンテンエリアといい、このエリアで栽培されていることから、ブルーマウンテンと呼ばれるようになりました。
歴史
1728年、当時の総督ニコラス・ローズ卿により、ジャマイカにコーヒーの木の苗が輸入されました。最初に輸入されたコーヒーの木の苗は、ブルーマウンテンエリアに植えられたといわれています。その後ハイチ革命の難民により、コーヒーの木の栽培とコーヒー豆の生産技術が伝授され、コーヒー豆の生産が急速に発展しました。
その後、ジャマイカのコーヒー豆の生産は一時衰退しますが、1943年にイギリスの農業アドバイザーがコーヒー産業復興計画を作成。5年後の48年に、ジャマイカのコーヒー豆の品質維持や向上のため、コーヒー産業公社(CIB)が設立されました。ジャマイカ産のコーヒー豆は、コーヒー産業公社のもと、ブランド化に取り組み、世界初のブランド化コーヒー豆となりました。そして現在も、世界最高のコーヒー豆を生産し続けています。
2.ブルーマウンテンの栽培や収穫方法
ブルーマウンテンの栽培環境や収穫方法、収穫したコーヒー果実を生豆にするまでの工程を紹介します。
栽培環境
ブルーマウンテンエリアは、標高800~1,200mのところにあります。エリアのほとんどが険しい斜面で、水捌けが良く、コーヒーの木を栽培するのに適しています。高地にあるため、日中と夜は平均8度以上の寒暖差。
しかしこの寒暖差により、コーヒーの実が日中は膨らみ、夜間は縮まる運動をします。日々運動を繰り返すことで、コーヒーの実が引き締まり、コクのある生豆に仕上がります。
またブルーマウンテンエリアは年間降水量が1,500mm~1,800mmと、コーヒーの木の栽培に適した雨量です。さらにブルーマウンテン山脈では霧の発生が多いため、土壌にも水分が行きわたります。
ブルーマウンテンエリアの土壌は、海底の有機物を多く含んでおり、コーヒーの木を育てるために必要な養分がたくさん含まれています。このような条件が揃ったブルーマウンテンエリアは、コーヒーの木を栽培するのに、最高の環境といえるでしょう。
収穫方法
ブルーマウンテンエリアは険しい斜面のため、栽培や収穫は手作業で行われています。またブルーマウンテンエリアのコーヒーの実は、病害や虫害に晒されることもあるため、注意深く栽培をしなければなりません。
さらに高い品質を維持するため、赤く完熟したコーヒーの実だけを摘み取っています。このようなことから、ブルーマウンテンの生豆の生産量には限りがあり、希少価値が高くなっています。
コーヒーの実から生豆になるまで
摘み取られたコーヒーの実は、浮遊選別工程という水槽に浸します。浮遊選別工程とは熟した果実と未熟な果実を選別する工程のこと。熟した果実のみ外皮・果実除去が行われ、硬い殻の状態(パーチメント)にしています。
パーチメントを天日乾燥し、その後機械乾燥を行い、水分含有量を12%に。さらに2ヵ月ほど寝かせて、品質を安定させます。寝かせ終えたパーチメントを脱穀機にかけたら、生豆の完成です。
3.ブルーマウンテンの品質保証や輸出方法
ブルーマウンテンのブランド基準や格付け、品質保証、ブルーマウンテンならではの輸出方法について解説します。
ブランド基準
ジャマイカでは、ブルーマウンテンエリアで生産されたコーヒー豆のブランドを守るため、産地によってブランド名を規定しています。
ブルーマウンテンエリアで生産されたアラビカ種のコーヒー豆をブルーマウンテン、ハイマウンテンエリアで生産されたアラビカ種のコーヒー豆をハイマウンテン、ブルーマウンテンとハイマウンテン以外の地区で生産されたアラビカ種のコーヒー豆をジャマイカと分類しています。
格付け
ブルーマウンテンは、スクリーンというコーヒー豆のサイズと欠点数(欠点豆(夾雑物・黒豆・発酵豆)の割合)によって、No.1、No.2、No.3、ピーベリー、セレクトと格付けされています。
スクリーン17および18以上かつ欠点数3%未満のものは、最も品質の良いNo.1。No.2はスクリーン16および17、No.3はスクリーン15および16で、欠点数はどちらともNo.1と同じ3%以内です。
品質保証
ブルーマウンテンは、ジャマイカの農水省管轄のコーヒー産業公社(CIB)の厳しいチェックにより、確固たる品質が保証されています。産地がブルーマウンテンエリアであっても、基準を満たしていなければブルーマウンテンとは名乗れません。
味や色味、生豆の形や大きさはもちろん、農薬の散布や収穫工程など生産者の栽培状況までチェックされます。ブルーマウンテンは格付け後も、国家資格を持つ最低三人の検査官によって、炒りあがり・香り・酸味・コク・後味・雑味・異味の6項目の味覚鑑定がおこなわれています。
このような厳しい検査の結果、No.1と出荷されるのは、全体の3割程度。No.1の多くがストレートとして販売され、No.2やNo.3はブレンドとして販売されることが多いです。
輸出方法
ブルーマウンテンのNo.1~ピーベリーまでの等級は、ジャマイカを象徴する木製の樽に詰められて輸出されています。木製の樽に詰めることで木材が湿気を吸収し、樽の中の温度を適度にしています。
このような工夫によって、ブルーマウンテンの鮮度や香りを保っているのです。現在ではブルーマウンテンのみにみられる輸出方法で、ブランド向上の役割も担っています。
4.ブルーマウンテンの風味と美味しい飲み方
最後にブルーマウンテンの風味特性と美味しい飲み方を紹介します。
風味特性
ブルーマウンテンは「黄金バランスのコーヒー」と呼ばれるほど、コーヒーの長所を兼ね備えたコーヒーです。マイルドな口当たりとなめらかなのど越し、上品な香りが特長。
コーヒー特有の苦味があるものの、すっきりとしていて飲みやすく、まろやかな酸味とも調和がとれています。奥深い甘味もあり、飲み終えた後も余韻を楽しめます。しっかりとした味わいと飲みごたえがあるコーヒーです。
美味しい飲み方
ブルーマウンテンの焙煎度合いは、ミディアムローストがおすすめです。バランスの取れた味わいと芳醇な香りを楽しめます。粒度は抽出方法に合わせましょう。
ブルーマウンテンはまず一口目は何もくわえず、ブラックの状態で。ブルーマウンテンの風味をダイレクトに感じてみてください。
5.愛飲者が多いブルーマウンテン
日本では1月9日をジャマイカ ブルーマウンテンの日と制定しているほど、ブルーマウンテンの愛飲者が多いです。ブルーマウンテンの生産量70%を日本国内で消費しており、ブルーマウンテンコーヒーの最大輸入国となっています。そんな日本人好みのブルーマウンテン。ぜひブラックの状態でお楽しみください。