世界最大のコーヒー生産量を誇るブラジル。世界で生産されるコーヒーの約30%がブラジル産です。広大な国土の大半がコーヒーベルトに属しており、コーヒーの栽培に適した環境が整っています。コーヒー大国となった理由やブラジル産のコーヒー豆の特長を知ることで、コーヒーへの知識がより深まることでしょう。
1.コーヒー大国ブラジルとは
ブラジルと聞いて、コーヒーを連想する人も多いのではないでしょうか。ここでは、ブラジルがコーヒー大国になった理由や歴史、ブラジル産コーヒーの種類について詳しく解説していきます。
世界一のコーヒー生産量
コロンビアやグアテマラなど、コーヒーの生産国はさまざまです。現在では、世界の60ヵ国以上で生産されています。数あるコーヒー生産国の中でも、群を抜いて生産量が多いのがブラジルです。その量は、世界のコーヒー生産量全体の3割を占めているといわれるほど。
1850年から長きにわたり、ブラジルは世界最大のコーヒー生産国と輸出国の地位を維持しています。まさにコーヒー大国という言葉がふさわしく、コーヒーの歴史を語るうえでは欠かせない存在といえるでしょう。
ブラジルにおけるコーヒー栽培の歴史
ブラジルには、本来コーヒーの樹は自生していませんでした。初めてコーヒーがやってきたのは今から約290年前、1727年とされています。30年以上たった1761年から本格的なコーヒー栽培が始まりました。以降、生産量は増え続け、1850年にはついに生産量が世界一となったのです。ブラジルの経済発展の要となったのは、言うまでもありません。
当然ですが、コーヒーを生産するには働き手が必要となります。1800年後半までブラジルのコーヒー栽培は、奴隷が労働力となっていたのです。その数は150万人にも及ぶといわれています。
1888年に奴隷制度が廃止となってからは、コーヒー農家は他国からの移民で労働力を賄うようになりました。その多くはヨーロッパからの移民で、賃金制による労働でコーヒー栽培を行っていたのです。
長い年月の中で、多くの人の手によってブラジルのコーヒーは世界一の生産量となりました。ブラジル産のコーヒーの歴史に思いを馳せながら、じっくりと味わってみてはいかがでしょうか。
ブラジルの気候やコーヒーの生産環境
コーヒー栽培に最適な赤道を挟んで南北緯約25度の一帯を、コーヒーベルトと呼びます。名称の由来は、赤道を中心にしてベルトのように位置しているからです。ブラジルは、国土の大半がコーヒーベルトに属しています。
ブラジルの広大な土地は、北部が熱帯気候、中部が亜熱帯気候、南部は温帯気候に属しています。どの地域でもコーヒーが育つため、コーヒー農園の数も規模も他国より大きいのが特長といえます。
平地に多く見られる大規模農園では機械化が進んでいる一方で、山岳地帯の小規模農園では手摘みによる収穫を行っています。多彩な収穫方法が共存しているのは、広大な大地と長い歴史のなせる業といえるでしょう。
ブラジルの主なコーヒーの種類
特定の商品名や栽培品種名画混じっているため「アラビカ種の生産が7割を占める」を内包して以下のような形でいかがでしょうか。
ブラジルで生産されるコーヒー豆は、約7割がアラビカ種でブルボン、カトゥーラ、カトゥアイ、ムンドノーボといったブルボン系の栽培品種が主に栽培されています。残りの約3割はコニロンと呼ばれるカネフォラ種(ロブスタ)です。
ブラジル産のコーヒーで最も有名な商品名といえば、「ブラジル・サントス」でしょう。この名前は、ブラジルのコーヒーのほとんどがサントス港から輸出されることが由来となっています。
2.ブラジルで生産されるコーヒーの特長
ここからは、ブラジル産コーヒーの特長を解説していきます。
バランスの良い味わいに定評あり
ブラジル産のコーヒーはしっかりと天日乾燥されるため、味わいに深みが感じられます。それだけではなく、乾燥させることでコーヒーの果肉に含まれる糖分が増え、マイルドで飲みやすくなるのです。
また、生産地の標高が他のコーヒー生産国と比較すると低いのもポイント。全体的に酸味が少なくなり、まろやかな味が生まれます。
広大な面積を誇るブラジルでは多種多様なコーヒー栽培が行われていますから、一括りに表現するのは難しいのが事実です。ですが、全体的に見て控えめな酸味と程良いコクを備えた、バランスの良い味わいが特長といえるでしょう。
アラビカ種の生産が7割を占める
ブラジルで生産されるコーヒー豆は、約7割がアラビカ種で残りの約3割はロブスタ種です。アラビカ種は品種改良などによりさらに細かい品種に分かれ、その中でブルボンやムンドノーボの品種が多く栽培されています。
収穫されたコーヒー豆は、生豆のサイズ、欠点数、味わいの評価を経て等級が決められていきます。
3.ブラジルのコーヒーを楽しむ方法
長い歴史と人の手によって育まれ、現在では多種多様なブラジル産コーヒーを楽しめるようになりました。ここからは、ブラジルのコーヒーをより深く味わえる、おすすめの選び方や飲み方をチェックしていきましょう。
焙煎度合いを変えて好みの味を見つける
焙煎はコーヒーの味を決める重要な工程。焙煎度によって、香りや風味も大きく変わってきます。
ブラジル産のコーヒー豆は、焙煎度を変えることで表情豊かな味わいを楽しめます。酸味がほしい時はミディアムロースト、苦味を強くしたい時にはハイローストなど、焙煎度に注目することでさらにコーヒーの奥深さを感じられるでしょう。
ブラジルのコーヒーは、深煎りから浅煎りまでどんな焙煎度でも美味しく飲むことができる万能さが特長でもあります。好みの味を追求してみてはいかがでしょうか。
ブレンドコーヒーのベースとして使う
酸味や苦味、深みのバランスが良く飲みやすいブラジル産のコーヒーは、ブレンドコーヒーのベースとして用いれらることも多いです。そのため、オリジナルブレンドのコーヒーを作りたい時には、ベースにブラジル産のコーヒーを選ぶのがおすすめ。
ブラジル産コーヒーに安定感があるのを知っておくことで、オリジナルブレンドを作る際の失敗を減らすことができるでしょう。
エスプレッソとして味わう
世界第一位のコーヒー生産量を誇るブラジル。コーヒー消費量も多く、現在では世界第3位となっています。コーヒー生産と消費の両方を担うブラジルのコーヒースタイルの主流は、エスプレッソです。
暑い国はコーヒーに砂糖をたっぷりと入れて飲む傾向が見られますが、ブラジルも同様の傾向があります。小さなカップに濃いエスプレッソと砂糖をたっぷり入れて、グイっと飲むのがブラジル流なのです。ブラジル産のコーヒーを飲むのでしたら、本場のスタイルを取り入れてみるのも良いですね。
スペシャルティコーヒーとして選ぶ
これまで、ブラジル産のコーヒーは大量生産で安価に手に入る傾向にありました。ですが、近年ではスペシャルティコーヒーの需要が高まり、ブラジルでも生産工程が厳重に管理された、品質の高いコーヒーを生産する農園が増えているのです。
長きに渡るコーヒー生産のノウハウがあるためか、ブラジル産のスペシャルティコーヒーにはクオリティの高いものが豊富に存在しています。特別な一杯として、コーヒー大国の高品質な味わいを選んでみるのもおすすめです。
4.広大な土地から生まれたブラジルのコーヒーを楽しもう
世界最大のコーヒー生産量であるブラジル。バランスの良い味わいで、焙煎度を選ばずに飲めるのが特長といえるでしょう。ブレンドベースとして使用されることが多かったのですが、最近ではスペシャルティコーヒーの注目により、高品質なコーヒー豆も増えています。広大な国土から生み出される、多彩なコーヒーを飲み比べ、コーヒーの奥深さを体験してみてはいかがでしょうか。