シングルオリジンコーヒーとは、農園や生産者ごとに細かくロット分けされて販売されるコーヒーのこと。生産や収穫、輸送などを明確に管理しているためトレーサビリティに優れており、生産者を身近に感じられる安心・安全なコーヒーです。生産者の努力に正当な対価が支払われるため、サスティナビリティも期待されます。
Index
1.シングルオリジンコーヒーの定義
最近では、通常のブレンドコーヒーとは異なるシングルオリジンコーヒーの人気も高まっています。シングルオリジンとは単一品種という意味を持ちますが、いったいどのようなコーヒーを指すのでしょうか。まずは、シングルオリジンコーヒーと呼ばれるコーヒーの定義について解説していきます。
生産者の顔が見えるコーヒー
コーヒーを購入する際には、生産地や生産国を確認することが多いのではないでしょうか。シングルオリジンコーヒーは国や地域といった大きなカテゴリーではなく、農園や生産者、品種や精製方法などの細かな単位を元に販売されるコーヒーのことを指します。
コーヒーのパッケージに「国・産地・農園」が示された名前が付いているのがシングルオリジンコーヒーの特長とも言えるでしょう。
また、表記を細かいカテゴリーに分けることで栽培品種や生産方法が明確になっているのもポイントです。
シングルオリジンと似た言葉で、シングルエステートというものがあります。シングルエステートとは、一つの農園で採れたコーヒー豆のこと。同じ農園で採れたコーヒー豆しか使用していないものを、シングルエステートコーヒーとしています。
2.シングルオリジンコーヒーの特長
シングルオリジンコーヒーは、一般的なコーヒーと比較するとどういった点が優れているのでしょうか。ここからは、シングルオリジンコーヒーを選ぶメリットを紹介していきます。
コーヒー豆の個性を実感しやすい
例えば同じ生産地のコーヒーは2つあったとしても、農場が違えば土壌や気候条件は少しずつ異なります。米や農作物がその土地に合った品種や栽培方法を取り入れているのと同様に、コーヒーも農園ごとに個性があるのです。
ブレンドコーヒーと比較すると、シングルオリジンコーヒーはコーヒー豆の個性の違いを感じ取りやすいのが大きな特長と言えるでしょう。コーヒー豆ごとの味わいの違いを楽しみたい人には、特におすすめします。
生産から輸送まで明確に管理されている
シングルオリジンコーヒーは、生産者がこだわって栽培したコーヒー豆を、最高の状態で味わうことができるのもメリットのひとつ。生産や収穫だけではなく、輸送や保管に至るまで明確に管理されているため、コーヒー豆の持つ美味しさや香りが消費者の元にもしっかりと届いているのです。
中には、そのコーヒー豆に適した焙煎度合いが表記されているものも存在します。ひとつの品種本来の味や香りを、品質の良い状態で味わうことができます。コーヒー好きにとって至福の1杯と言えるでしょう。
トレーサビリティに優れている
商品の生産から、最終的に消費者の手元に渡るまで追跡が可能な状態をトレーサビリティと呼びます。「国・産地・農園」がしっかりと記載されていて、管理が行き届いたシングルオリジンコーヒーはトレーサビリティに優れた商品と言えるでしょう。
鮮度や品質が確認しやすく、消費者はいつでも安心して安全なコーヒーを楽しめます。
サスティナビリティに役立つ
古くから親しまれてきたコーヒーは、長きに渡り大量消費と低価格化が続いていた飲み物とも言えます。薄利多売な状態は農園の労働環境の低下へとつながるため、懸念されているポイントでもあるのです。
ですが、シングルオリジンコーヒーなら上質で美味しいコーヒー豆の生産に正当な対価を付けられます。結果として、農園が価値に見合った報酬を得ることができるだけでなく、高品質なコーヒーが消費者の手元に渡るのです。コーヒー農園の持続可能な運営(サスティナビリティ)にも役立つシングルオリジンコーヒーは、この先さらに注目が高まるかもしれません。
ロットごとに新しい味と出会える
農園ごとに銘柄が分けられているシングルオリジンコーヒーは、一般のコーヒー豆と異なりロットが小さいのもポイントです。ロットが小さいとはその分コーヒーが細分化されているということ。シングルオリジンコーヒーはロットごとに新しい味と出会えるので、選ぶ楽しみも醍醐味なのです。
また、シングルオリジンからさらに細分化されたものを、マイクロロットと呼びます。気候や生産環境に合わせてロットごとに生産体制が変わるものもあるため、より繊細な風味と香りの変化を体験できるでしょう。
3.ストレートコーヒーやブレンドコーヒーとの違い
シングルオリジンコーヒー特有の魅力は分かりました。それでは、ストレートコーヒーやブレンドコーヒーとの味や表記の違いはどういったものなのでしょうか。ここからは、シングルオリジンコーヒーがストレートコーヒーとブレンドコーヒーと異なる点を詳しく解説していきます。
ストレートコーヒーは生産国や生産地でカテゴライズ
産地や品質が統一されているコーヒーのことを、ストレートコーヒーと言います。1種類のコーヒー豆で構成されている点は、ストレートコーヒーもシングルオリジンコーヒーも同じなのです。
ストレートコーヒーはブラジルやマンデリンといった、同じ国や地域で1つにまとめられているのが違いを語る際のポイントとなります。農園や生産者ごとに分けられているのではないため、シングルオリジンコーヒーのように生産者の顔を知ることはできません。
このことから、シングルオリジンコーヒーはストレートコーヒーをさらに細分化し、品質をより高めたものと言えるでしょう。
ブレンドコーヒーは味のバランスに優れている
複数のコーヒー豆を組み合わせたブレンドコーヒーは、シングルオリジンコーヒーの対極とも言える存在です。そのため、味わいの魅力も異なってきます。
シングルオリジンコーヒーと比較すると、ブレンドコーヒーはバランスの良い味わいを楽しめるのが特長的です。酸味の強いコーヒー豆にやわらかい酸味のコーヒー豆をブレンドするだけでも、酸味が強いコーヒー1種類よりもマイルドに、バランスの良い味わいと感じられるでしょう。このように、ブレンドコーヒーは味や香りのバランスを楽しめるのが魅力なのです。
また、ブレンドは店によって独自性があるのもポイント。シングルオリジンコーヒーとブレンドコーヒーは、味わいだけではなく楽しみ方も異なるのです。
4.シングルオリジンコーヒーの楽しみ方
シングルオリジンのコーヒー豆を手に入れたのなら、そのコーヒー豆を最大限に楽しんでみてはいかがでしょうか。ここでは、シングルオリジンコーヒーだからこそできる楽しみ方を紹介します。
飲み比べて個性の違いを堪能
シングルオリジンコーヒーは、農園や生産者ごとに異なるコーヒー豆の個性を、ダイレクトに感じられるのが大きな魅力のひとつ。特定の銘柄だけを飲むのももちろん良いのですが、複数のシングルオリジンコーヒーを購入して味わいや個性の違いを実際に感じてみるのもおすすめです。
最近のコーヒー専門店などではシングルオリジンの飲み比べセットが販売されていることも多いので、手軽にシングルオリジンコーヒーごとの違いを楽めるのもポイントです。
5.シングルオリジンならコーヒーがもっと身近に
シングルオリジンコーヒーは生産者の顔が見える、安心・安全・高品質を実現したコーヒーです。遠い産地で収穫されたコーヒー豆も、ぐっと身近に感じられるのではないでしょうか。また、トレーサビリティやサスティナビリティにも優れているため、コーヒーの文化や発展にも貢献できます。ぜひ、奥が深いシングルオリジンコーヒーを楽しんでみてください。