長年培った信頼と実績を活かし
生産者と消費者の架け橋へ
株式会社 チモトコーヒー代表取締役 社長 治面地秀一
カフェやレストラン、ホテルへの業務用コーヒーの卸を中心に、OEM(製造受託)製品や一般消費者向けのEC事業など、幅広いニーズに応えるチモトコーヒー。1927年創業と、長くコーヒー事業に携わる同社の歴史とこだわりを、富士山を望む静岡県沼津市に構える中央工場で、代表取締役社長の治面地秀一氏に聞いた。
創業者は、日本にネルドリップを紹介
チモトコーヒーを創業した芝原耕平氏は、日本で初めてネルドリップの抽出方法をラジオ番組で紹介するなど、コーヒー文化を戦前から日本に普及させるため、精力的に活動した人物だ。移民として南米に渡り、ブエノスアイレスで日本食品店を経営していた芝原氏は帰国後の1927年、東京・四谷で喫茶店向けのコーヒー卸売業を設立した。それがチモトコーヒーの前身となるチモト商店だ。
社名につけた「チモト」は、「吉野の千本桜」から取ったもの(「千本」を音読み)。日本を代表する花といえば桜、そして日本を代表する伝統文化といえば茶道である。茶道のように、コーヒーを日本でも極めたい——そうした決意のもと、チモトコーヒーはスタートした。
生産体制と幅広いノウハウが大きな強み
1947年に現・代表取締役の治面地秀一氏の叔父が事業を継承。60年代の喫茶店ブームで全国に販路を拡大。店舗向けの卸売業にくわえ、70年代頃からは大手飲料メーカーに缶コーヒーやコーヒー牛乳用の原料を販売するなど業務の幅を拡げた。少量多品種から大量生産まで対応できる生産体制と、クライアントに合わせて柔軟に調整できるノウハウを持っていることが、チモトコーヒーの大きな強みである。
再現性を高め、安定した味を供給する
メインの焙煎機は、ドイツ製のGOTHOT RAPIDO NOVA。1972年の三島の中央工場建設と同時に導入し、工場を移転した今も同じものを使用している。一回で最大100キロを焙煎できるこのマシーンは、熱風式でムラなく仕上げ、まろやかな味わいを引き出す。
また、工場内の機械は一つの制御盤で動きを把握・管理できるようにしているため、温度プロファイルの再現性が高い。それにより、安定した味を供給できるのだ。
高水準で徹底する品質管理
すべては安心・安全のために
プロと対するプロだけに、安心・安全も抜かりなく
卸を中心に、事業を拡大してきたチモトコーヒーは、いわばプロと相対するプロ集団。クライアントであるスーパーや飲食店のその先、一般消費者の嗜好にも常に気を配る。安心・安全な製品を届けるため、ISO9001、JAS有機、UTZ、レインフォレスト・アライアンスの4つの認証を取得。また、サイロから焙煎、パッケージまで、機械の中だけで完結する生産工程を敷き、パッケージの後もエックス線検査機でチェックする。
出荷前は、検査機で焙煎の度合いや粒度を確認し、最後は人の舌による官能検査を行うなど、品質管理も抜かりない。
生産者と消費者の架け橋になりたい
そんなチモトコーヒーの一番のこだわりは、原料調達。つまり、生豆の仕入れである。世界各国の農園をめぐり、サントス商工会議所のコーヒー鑑定士の資格を持つ治面地氏がカッピングを繰り返して買付の判断をする。
味はもちろんだが、産地の土壌や文化なども大事にし、「生産者が一杯の美味しいコーヒーにかける情熱を、日本の消費者に伝える架け橋になりたい」と語る治面地氏。取引先企業に生豆が採れるまでのストーリーを伝え、スーパーの従業員やお客様向けの「コーヒーセミナー」も開催している。
卸売業から始まり、主に事業者に向けてのビジネスで拡大してきたチモトコーヒーだが、今後は自社ブランドの家庭用製品にも力を入れていきたいとのこと。海外のコーヒー店舗の動向にも明るい治面地氏が、楽しそうに語る今後のビジョンに、新しい歴史が詰まっている。
Product商品詳細
株式会社 チモトコーヒープレミアムブレンド
(200g)1,080円(税込)
- 価格は取材時点のものになります
コーヒーチェリーの甘みを吸い込んだブラジル・ナチュラルと、すっきりとした味わいのケニアの2種のスペシャルティコーヒーをブレンドし、やや深煎りに。“甘み、酸味、苦みのバランスの良いもの”を美味しいコーヒーと考える同社らしいオリジナルブレンド。ベルギーのブリュッセルにて毎年行われるiTQi(国際味覚審査機構)で優秀味覚賞を受賞した。
Company会社情報
会社名 | 株式会社 チモトコーヒー |
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住所 | 146-0082 東京都大田区池上4-3-17 |
電話 | 03-3753-2421 |
FAX | 03-3755-0084 |
営業時間 | 9:00〜18:00 |
定休日 | 土、日、祝日 |
HP | https://chimoto-coffee.co.jp/ |