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珈琲人名鑑

美味しいコーヒーを通じて
やすらぎと活力を提供したい

株式会社 ドトールコーヒー新規事業統括本部 新規事業運営課課長 沼田好平

創業以来、コーヒーを通じて人々にやすらぎと活力を提供してきたドトールコーヒー。同社が長く愛されている理由として、少子高齢化や働き方改革など、社会の変化やニーズに対応した店舗戦略がある。今回は新規事業を担当する沼田好平氏に、新業態となるドトール珈琲店や同社の戦略についてうかがった。

日本人のライフスタイルを変えた、コーヒーのリーディングカンパニー

ドトールコーヒーの創業は1962年。社名は創業者の鳥羽博道氏がブラジルのコーヒー農園で働いていた頃に下宿していた「ドトールピントフェライス通り85番地」の通り名に由来する。ドトール(doutor)とは、ポルトガル語で「医者」「博士」を意味する「ドクター」と同義だ。

事業のメインは店舗運営、そして工業用原料やコンビニエンスストア・量販店向け商品の製造。現在、グループの総店舗数は1300を超える。日本のロースターとしては後発だったこともあり、鳥羽氏は他社と差別化するためのアイデアを模索してきた。1980年、日本初のセルフサービススタイルのカフェ「ドトールコーヒーショップ」が誕生すると、美味しいコーヒーが早く安く飲めると評判に。通勤前にコーヒーを飲む文化を作った同社は「日本人のライフスタイルを変えた」とまで言われたそうだ。さらに、大型の直火焙煎機を開発・導入することで差別化を推し進めてきた。

就業人口やライフスタイルの変化に合わせて、新規事業をスタート

2007年にはレストラン経営に長けた企業と経営統合。その記念すべき年に新卒入社したのが沼田好平氏だ。食に関わること、人に関わること。その両方を兼ねた仕事を志し、ドトールコーヒーに入社した沼田氏。資質を買われ、直営店の店長からマーケティング、商品開発やブランディングなど、幅広い業務を経験してきた。

創業以来、就業人口の増加とともに成長してきたドトールコーヒーだが、昨今は少子高齢化が進み、就業層が広がり、ライフスタイルも大きく変化している。さらに、コーヒー業界ではサードウェーブコーヒーという新たなトレンドも生まれた。そんな潮流を汲んだうえで、ワンランク上の新業態を作るという同社のプロジェクトに抜擢されたのが沼田氏だった。

成長戦略の行く末を担う
かつてないコンセプト

コーヒー農園主の邸宅をイメージしたカフェ

沼田氏が担当する「ドトール珈琲店(ドトール珈琲農園)」は首都圏を中心に5店舗を展開している(2019年10月時点)。そのコンセプトは「コーヒー農園主の邸宅のような上質な空間で、心ゆくまでコーヒーの味わいを楽しむ」というもの。客席窓側は、一般的なドトールコーヒーショップではカウンター席だが、ドトール珈琲店は上質なソファなどを配置。全体的に席の間隔を広く保ち、ゆったり過ごせる空間作りがされている。

また同店では、既存ショップが提供してきた、日本人の嗜好に合うバランスの良いコーヒーをアップグレード。直火焙煎で焼き上げたスペシャルティコーヒーのブレンドを3種取り揃え、一杯ずつハンドドリップで提供している。「スペシャルティコーヒーだから当店を選んでいるというお客様は少ないと思います。飲んでみて美味しいと感じたら、実はスペシャルティコーヒーだったという方が敷居も低く、市場も広がると考えています」。沼田氏の言葉には、一般に普及しつつあるスペシャルティコーヒーにおいても、リーディングカンパニーであろうとする意思が感じられる。

こだわりのアレンジコーヒーとフードメニュー

カップ一杯のコーヒーへの情熱もさることながら、アレンジコーヒーやフードメニューにもこだわりが詰まっている。例えばゼリーインカフェオレフロートなどで使用しているコーヒーのベースは、店舗にてネルドリップで抽出。ホイップクリームもすべて店で泡立てており、古き良き喫茶店の味を再現している。

見た目も映えるカフェオレフルーツサンドのパンは、何度も試作を重ねて完成したもの。生地にコーヒーの粉末と抽出液を配合しているので、ほのかにコーヒーが香り、フルーツの酸味とのバランスが絶妙だ。ドトール珈琲店の商品企画から運営までを一貫して見ている沼田氏は、実際に店舗で作る際のオペレーションまで考察しながらメニュー開発していると胸を張る。

「ドトールのある暮らし」を実現し、暮らしのインフラ企業を目指す

常に新しいことにチャレンジしてきた12年間を振り返ると、一つ一つの経験が会社の成長につながっていると語る沼田氏。「一杯の美味しいコーヒーを通じて、お客様にやすらぎと活力を提供する」という会社の理念は、自身の実現したい夢でもあるという。

それを叶えるため、ドトールコーヒーとさまざまな人々の接点をさらに作り、「ドトールのある暮らし」を実現していくことが目下の目標だ。すでに展開している愛犬も入れる店舗を進化させ、公園に併設された店舗を増やす。また既にある病院併設店経営のノウハウを活かして、介護施設併設を増やしていくなどアイデアは豊富にある。さらに個人としては「いずれ会社を統率するトップに登りつめたい」と沼田氏。熱い眼差しで語る沼田氏とドトールコーヒーの挑戦は、これからも続いていく。

Product商品詳細

株式会社 ドトールコーヒーザ・ドトール

(180g)972円(税込)

  • 価格は取材時点のものになります

ドトールコーヒーが長年研究し提供してきた日本人の味覚に合う、甘味・酸味・苦味のバランスが取れたブレンドコーヒー。スペシャルティコーヒーのみを使用し、直火焙煎により中深煎で仕上げた味わいはクリーンで飲みやすい。コーヒー豆はドトール珈琲店の店頭のみで発売。
この商品についてのお問い合わせ:ドトール珈琲店 川崎ゼロゲート店(電話044-244-5565 月~木 8:00〜22:00、金・土・祝前日 8:00〜22:30)

Company会社情報

会社名 株式会社 ドトールコーヒー
住所 150-8412 東京都渋谷区神南1-10-1
電話 03-5459-9008
FAX 03-5459-9083
営業時間 9:00〜18:00
定休日 土、日、祝日
HP https://www.doutor.co.jp/
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