トラジャの美味しさを多くの人に
100年目の新たな挑戦
キーコーヒー 株式会社マーケティング本部 阿部祐美子
2020年に創業100周年を迎えるキーコーヒー。時代とともに変わるニーズにあわせてコーヒーを作り続けてきた同社が、シグニチャーとして長年、情熱を注いでいるのが「トアルコ トラジャ」だ。今回は新作「トラジャブレンド ルアール」の開発を担当した阿部祐美子氏にトラジャへの想いを聞いた。
「誰でも・簡単に」美味しいコーヒーを楽しめるように
世界各地から取り寄せた高品質の生豆を使用し、簡易抽出型レギュラーコーヒーやインスタントコーヒーなどさまざまな形でコーヒーを提供しているキーコーヒー。1920年の創業以来、希釈して飲むコーヒーシロップや缶入りレギュラーコーヒーの開発により、コーヒーを誰でも、簡単に楽しめる身近な飲み物にするとともに、「品質第一主義」の理想に基づき、美味しいコーヒー作りに情熱を注いできた。
その情熱の結晶とも言える存在がインドネシア・スラウェシ島で作られる「トアルコ トラジャ」だ。戦前から栽培され、「セレベス(スラウェシの名品)」と賞賛されていた希少なトラジャコーヒーは、第二次大戦により一度は市場から姿を消した。しかし高い品質と豊かな味わいに惚れ込んだ同社が、困難を覚悟で再生に着手。1973年より現地の人々とともに荒れ果てた地を開墾し、わずかに残っていた苗から再び栽培を始めた。5年後の1978年、姿を消してから実に40年の月日を経て、ついに幻のトラジャコーヒーは復活を遂げた。
復活から40年、トラジャの新たな可能性を求めて
2018年、そんな「トアルコ トラジャ」も発売から40周年を迎えた。世の中はコーヒーブーム真っ盛り。日々楽しみ方が多様化する中で、長きにわたり支持されてきたトラジャもさらなる進化の必要性に迫られていた。「これまでのトラジャの美味しさを守りつつ、今の時代にあった新しいものを作らなければならない。より多くの人に、トラジャの魅力を伝えたい」。大役を任されたのは、阿部祐美子氏。40周年を機に発売した新たなトラジャブレンド「トラジャブレンド ルアール」の開発担当者だ。
2000年に入社した彼女は、入社一年目に工場に配属となり、1年間、現場で研修を積んだ。「製造から品質管理まで、あらゆる業務を経験しました。朝から晩まで毎日コーヒーまみれの生活でした」と、懐かしそうに笑う。翌年には開発部門に異動。それから19年、開発一筋。キーコーヒーの美味しさの一端を担い続けている。
トラジャに行って、人生観が変わった。
この魅力をひとりでも多くの人に伝えたい。
一粒たりとも無駄にしない、その想いの源には
「入社するまでコーヒーは、学生の頃にテストの前くらいしか飲まなかったですね」という彼女の、コーヒーに対する考え、さらには人生観を変えた出来事がある。それがコーヒー産地の訪問だ。2005年、研修でインドネシア・トラジャ地方に訪れた阿部氏は、コーヒーを育てる人々に初めて出会い、ひたむきに栽培に取り組む姿に衝撃を受けた。質の高いコーヒーを作る、という仕事としての一面だけでなく、家族を支え、生活も人生もかけて育てられるコーヒー。小さなコーヒーの実に詰まったあふれんばかりの情熱を目の当たりにし、「一粒たりとも無駄にはしない」そう心に決めた。
トアルコトラジャはこれまで長きにわたり積み上げられてきた、キーコーヒー社員とトラジャの人々の誇り。「このコーヒーの美味しさを日本で伝えることが、自分の役目」。トラジャへの訪問は、コーヒーと向き合う上で大きな転機になったという。
これまでのトラジャブレンドを超える新ブレンドを作る
「トラジャブレンド ルアール」は言わば、温故知新。ルアールとは、インドネシア語で「超えていく」という意味だ。トラジャ特有のコクや深みを残しつつ、より甘みとまろやかさをたたせ、フルーティーな香りを加えることで、後味にスパイスのようなさわやかな余韻を生み出した。
香りや味わいなど、独自の厳しい基準を設けているキーコーヒー。さらに高いレベルの品質が求められるトラジャブレンドは、今までに発売してきた商品と何度も飲み比べ、長年のお客様にも新たなお客様にも、絶対に美味しいと言われるものに組み立てる。トアルコトラジャには、キーコーヒーの全情熱が注がれているのだ。
ライフスタイルに寄り添う、美味しさを提供したい
コーヒー文化がますます多様化する中で、常に彼女の意識にあるのは「お客様は、どのようなシーンで、どのようなコーヒーを求めているのか」ということ。いつもハンドドリップで淹れるコーヒーがベストなのではなく、ドリップオンであったり、または気分で味わいを選んだり、時にはスイ−ツと一緒であったり、さまざまなライフスタイルの中で、もっとも美味しく飲めるコーヒーを提供することだ。「どうすれば『これも飲んでみよう』と思ってもらえるか。それが勝負です」。阿部氏の情熱をかけた挑戦は、これからも続いていく。
Product商品詳細
キーコーヒー株式会社トラジャブレンド ルアール
(180g)777円(税込)
- 価格は取材時点のものになります
キーコーヒーのシグネチャーであるトアルコ トラジャをベースに、コロンビアなど、アラビカ種100%のオリジナルブレンド。パッケージには、トラジャ地方の伝統家屋トンコナンをイメージしたシンボルマークとウキラン彫りという独特の模様があしらわれている。次世代に向けた新しいトラジャ商品として、公式ECサイトにて限定販売している。
Company会社情報
会社名 | キーコーヒー 株式会社 |
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住所 | 105-8705 東京都港区西新橋2-34-4 |
電話 | 03-3433-3311 |
FAX | 03-3437-5779 |
営業時間 | 8:30〜17:30 |
定休日 | 土、日、祝日 |
HP | https://www.keycoffee.co.jp/ |