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珈琲人名鑑

唯一無二の味わいを作る
ダブル焙煎の第一人者

有限会社 菊地珈琲会長 菊地良三

札幌で1986年に創業した菊地珈琲。一度焙煎したコーヒー豆を急速に冷まし、再度焙煎するというダブル焙煎は、創業者で会長の菊地良三氏が生み出した唯一無二の手法だ。50年以上コーヒーに携わってきた菊地氏にコーヒーへの想いについて話を聞いた。

大手コーヒー企業で喫茶学校の講師を務めた後、独立

菊地珈琲の創業者で会長の菊地良三氏がコーヒーの道に入ったのは1960年、大手コーヒー企業に就職したことがきっかけだった。社内で150人以上の生徒が通う喫茶学校の講師をしていた菊地氏。授業のなかで美味しいコーヒーを模索するうちに、のちの菊地珈琲ブランドにつながるダブル焙煎を開発した。45歳になった1986年、良三氏は札幌市に菊地珈琲を創業した。

創業からの歩みは決して平坦なものではなかったが、喫茶学校で講師をしていたことで人の縁に恵まれ、卸先は徐々に拡大していった。

理想は雑味がなく、きれいな余韻を感じるコーヒー

古き良き喫茶店スタイルの菊地珈琲に足を踏み入れると、常連のお客様で始終賑わっている。朝、昼、夜と1日に何度も来店される方もいるため、何杯飲んでも体に負担のかからないコーヒーを提供しているという。

美味しいコーヒーの定義は「雑味がなく、飲んだ後にきれいな余韻が残るコーヒー」と菊地氏。雑味があるコーヒーは、口に残った後味を洗い流すように水を飲みたくなるが、その必要がないコーヒー、それが理想だ。

創業時からあるオリジナルブレンドは、その理想を具現化したコーヒー。口あたりが良く、後味がスッキリしていて甘味のある余韻が印象的だ。店頭ではそのほかにもブレンド15種類、シングルオリジン15種類を販売している。

自由な発想が生み出した
ダブル焙煎という新手法

ダブル焙煎でないと成し得ない風味と柔らかさ

菊地珈琲を語る上で欠かせないのが、独自で生み出したというダブル焙煎だ。1度目は品種や産地の違いによって細かく条件を変えながら焙煎。最初の焙煎が終わると釜から取り出し、冷却する。2度目の焙煎は、産地の個性を引き立たせるために、低温でじっくり行う。そうすることで渋みやエグ味を最小限に抑えられる。また、ダブル焙煎でしか作り出せない柔らかな味わいも生まれる。

このダブル焙煎は、全ての生豆で行なっているわけでなく、主に浅めに焙煎したい時に用いる手法。そのほかにも、ブレンドを作る時には生豆を時間差で投入するなど、自由な発想と検証を重ねながら美味しさを追求している。

想定を超えた美味しさを作り出すために

同社が焙煎で使用しているのは、東京産機工業の半熱風式30キロだ。焙煎方法もユニークだが、焙煎機自体も技術者と相談し、羽根の枚数や回転数などをカスタマイズした特注品を使用している。最近ではコンピュータ制御された焙煎機もあるが「それでは想定内の味わいしか作れない」と菊地氏。焙煎機も焙煎方法も、自らの考えを用いて、フルマニュアルで焼くからこそ、思いもよらない美味しさに出会えると考えている。

社長業のバトンを渡した現在も、生涯現役

創業から30年以上経つ菊地氏に、今後の展望を聞くと「大きな発展は望んでいません」と意外な答えが返ってきた。「自分が作ったコーヒーを美味しいと飲んでくれるお客様がいる、それが嬉しい」と微笑む。

1986年、45歳で菊地珈琲を創業した良三氏。2代目を引き継ぐ息子の博樹氏が45歳になった2016年、社長業のバトンを渡し、自らは会長に就任した。しかし、会長となった今でも、朝7時に店のシャッターを開ける日課は創業当初と変わらない。「生涯現役です」と語るその言葉には、長きにわたってコーヒーの道を、時に悩み、時に楽しみながら追求してきた自信と、コーヒーを求めて来店するお客様への愛情が感じられた。

Product商品詳細

有限会社 菊地珈琲オリジナルブレンド

(200g)960円(税込)

  • 価格は取材時点のものになります

ブラジル、コロンビア、モカなど全5種の生豆をシティからフルシティローストで焙煎したオリジナルブレンド。一日に何杯飲んでも飽きない、芳ばしい香りと優しくて甘い余韻が魅力。きれいな後味が特徴的で、創業当時から長く愛されている。

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Company会社情報

会社名 有限会社 菊地珈琲
住所 064-0821 北海道札幌市中央区北1条西20-3-33
電話 011-612-5688
FAX 011-612-5689
営業時間 7:00〜19:00
定休日 日、祝日
HP http://store.kikuchicoffee.co.jp/
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