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珈琲人名鑑

伝統と信頼を受け継ぐ
オンリーワンのコーヒー作り

株式会社 木村コーヒー店常務取締役 五木田透

日本でコーヒーが広まる黎明期に創業し、喫茶店ブームの折には開業サポートを行うなど、コーヒー文化の浸透に寄与してきた木村コーヒー店。現在、常務取締役を務める五木田透氏に木村コーヒー店の過去と現在について話を聞いた。

七輪で焼いた生豆がきっかけで始めた焙煎業

知人の会社を手伝う形でコーヒー業界に入った創業者の木村時太郎氏だが、実は意外な形でコーヒーと出会っていた。横浜の港湾でのアルバイトに従事していたころ、海外から運ばれてくる貨物からこぼれ落ちた生豆を拾い集め、七輪で焙煎。そこから抽出したコーヒーの美味しさが忘れられず、木村氏は自身のコーヒーを追求するため同社を退社、1956年に木村コーヒー店を創業した。

時は戦後の高度経済成長期。喫茶店が急速に増えていくなかで卸先は続々と増えていった。さらに同社は、大手乳業から瓶詰め用ミルクコーヒーの原料となるコーヒー豆の焙煎を受注。新宿駅前に日本初のコーヒースタンドをオープンするなど、会社を躍進させていった。

卸先ごとにオリジナルブレンドを作成

現在、店の経営を担うのは、創業者の孫にあたる五木田透氏だ。以前は創業時から守り続ける「マイルドブレンド」のみを卸していたが、コーヒーが一般に普及し、消費者ニーズも多様化した近年は、卸先約300社すべてに個別のオリジナルブレンドを作成している。

卸先は、喫茶店、オフィス、美容室まで多種多様。求められる味がそれぞれ異なるため、最低でも2、3回は卸先と共にテイスティングしてから、味を決めているという。コーヒー豆の産地や焙煎度、配合、挽き目、1袋あたりの充填量までを細かく聞き入れ、1社1社に合わせたオンリーワンのコーヒーを提供できることは同社の強みだ。

また本店では小売も行っており、シングルオリジン20種類とブレンド6種類のコーヒー豆が店頭に並ぶ。月1回の特売日には、「コーヒーの面白さを知ってもらいたい」という想いから、希少なもの、流通量の少ないもの、レインフォレスト・アライアンス認証農園のものなど、ストーリーを持ち合わせるコーヒー豆を販売している。

お客様からの信頼が一番。
受け継いだものを大切にしたい

ブレンド作りに適した、小回りの効く10キロ焙煎機を使用

本店の5階で行なっている焙煎に使用しているのは、歴代3台目となるフジローヤル製10キロの半熱風式焙煎機だ。これまで使っていた焙煎機と比べるとやや小ぶりだが、各社のオリジナルブレンドに合わせて数多くの生豆を焙煎するにはこのサイズが最適だという。

コーヒー豆の重さを測る際は、昔ながらのハカリと分銅を使用し、コーヒー豆は缶の容器で保存。それらはすべて五木田氏が生まれる前から使われていたものばかり。先代から受け継いできたコーヒー作りの裏側には、大切に使い続けてきた道具たちの存在も欠かせない。

コーヒーと昔ながらのメニューで愛される喫茶店

「気軽に入店しやすいように」と、以前は2階にあった喫茶店を、1階へと移動させたのが2001年。店内では、コーヒーの他、ランチなどの軽食を提供している。

店内では、男性だけでなく、ランチ利用として周辺エリアで働く女性のお客様も多い。同店では、小売販売で女性客に最も人気のあるシアトルローストをエスプレッソマシンで抽出し、提供。酸味のない深煎りで、ミルクを入れても芳ばしい香りと味わいを楽しめるのが人気の秘密だという。

創業から受け継ぐ、信頼重視の経営方針

かつて喫茶店ブームの時代、コーヒー卸売業者は、内装や厨房機器、食材、看板など、開業に必要なあらゆる業者を紹介する繋ぎ役も担っていたため、開業するならまずコーヒー卸売業者に相談するのがセオリーだったという。そのスタイルを今でも引き継いでいる五木田氏。英語も堪能で、海外の有名コーヒーショップが日本初上陸をする際に、多面的にサポートを行ったこともあるという。五木田氏は「『うちに頼んでよかった』と言われるのが一番の喜びです」と語る。

開業サポートも、各社ごとのオリジナルブレンド製作も、信頼関係を大切に経営を続けてきた木村コーヒー店。長い歴史を誇りに、新たな時代のニーズに合わせた、お客様に喜ばれるコーヒーをこれからも作り続けていく。

Product商品詳細

株式会社 木村コーヒー店マイルドブレンド

(250g)650円(税込)

  • 価格は取材時点のものになります

1956年の創業以来、コーヒー豆の配合や焙煎度合いを変えていない看板商品。ブラジルやコロンビアなどのスペシャルティコーヒーのほか、ロブスタ種の生豆をあえて1割配合することで独特の苦味をくわえている。それぞれ生豆の特性を生かすため、焙煎後に合わせるアフターブレンドを採用。

ご注文はお電話で03-3813-6841ご注文はお電話で03-3813-6841【営業時間】平日 10:00~18:00、土、日、祝日 11:00~17:00

Company会社情報

会社名 株式会社 木村コーヒー店
住所 113-0001 東京都文京区白山1-33-25
電話 03-3813-6841
FAX 03-3813-6845
営業時間 9:00〜17:30
定休日 土、日、祝日
HP http://kimuracoffee.com/
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