コーヒーを通して提供する
真のパブリックスペース

有限会社 三澤珈琲代表取締役 三澤優治

「真の価値のあるコーヒーの提供」を経営理念に掲げ、長野県辰野町のパブリックスペースを目指して1983年に創業した三澤珈琲。価格や味のみならず、ひとりひとりのお客様によって異なる価値観に合ったコーヒーを届けるべく奮闘する2代目、代表取締役・三澤優治氏に話をうかがった。

目指したのは「パブリックスペース」。コーヒーにその想いを託して
1983年に長野県辰野町で創業した三澤珈琲。その始まりは、現代表取締役・三澤優治氏の父、三澤顕介氏が自宅を改装してつくった小さな自家焙煎店だったという。幼い頃から両親の仕事の関係で、地方を転々としてきたという顕介氏。そんな顕介氏だからこそ、新しい土地になじむことの難しさや嬉しさを誰よりも感じてきたのだろう。辰野町に移り住むことが決まった際、「すべての人が親しみをもって集えるパブリックスペースをつくりたい」と、その望みをコーヒーに託した。
インターネットもない時代に、ブタ釜と呼ばれる古式の焙煎機一つで自ら焙煎技術を磨き始まった三澤珈琲だが、この40年の間、多様な価値観を持つあらゆるお客様の声に応えるために、地道に、だが着実に歩みを進めてきた。味わいと価格帯の両面から幅広い種類のコーヒー豆を揃え、活気と安心感ある店づくりを追求。目指すのは、昔ながらの青果店のように誰もが信頼を寄せるコーヒー店だ。2024年12月現在、店舗は豆売りと喫茶を合わせて4店舗に増え、今後は県外への出店も計画中だという。「ハイペースとはいえませんが、お客様に支えていただき土壌を固めながら一歩一歩進めている」と、優治氏は話す。

徹底した焙煎コントロールで鮮度を保つ
そんな優治氏は、自社の味づくりの最大の強みは「鮮度」だと語った。
「先代が口ぐせのようにいっていたのですが、『コーヒーは大道芸の皿回し』と同じです。回し続けていないと皿が落ちて芸にならないのと同じように、焙煎したコーヒー豆をただ店に置いていても、品質が劣化して価値が下がってしまう。種類を増やすだけなら簡単です。それらのコーヒー豆を、すべて、鮮度よく、常に届け続けられるかに真価が問われると思っています」
三澤珈琲では、フジローヤルの10キロ釜を使用。独自に定めた「焙煎後10日以内」という販売期限に則り、在庫状況を細かく見ながら量やスケジュールをコントロールし、毎日こまめに焙煎することで高い品質を保っている。
先代が掲げた3つの“真”を
受け継ぎ、アップデートする


価値観は押し付けるのではなく、創造するもの
今年35歳を迎える若き2代目は今、先代から受け継いだ「3つの“真”」⋯⋯、「真の価値」「真のサービス」「真のパブリックスペース」にさらに磨きをかけるべく奮闘中だ。
「真の価値」とは、同店の経営理念「真の価値のあるコーヒーの提供」にも表されるように、三澤珈琲の根幹を成す考えといえるだろう。「価値がある」とは単純に高価格であることや業界として評価が高いことではなく、ひとりひとりのお客様にとって最大限に心を満たすものであるかどうかだと、優治氏は語った。味わい、価格、生産者⋯⋯、何に価値基準を置くかはお客様それぞれ。まったく等しい基準を持つ人は存在しないからこそ、店側から「価値観を押し付けない」のが三澤珈琲のスタンスだ。
常時30種類以上のコーヒー豆を揃えるのもそのため。幅広い選択肢を提示しなければ、多様な価値観に応えることはできない。そうして、あらゆるお客様に心からの満足を届けられるよう、さまざまなコーヒー豆を常に新鮮で香り高いものに仕上げることが、三澤珈琲の使命なのだ。
ただし、新たな価値を創造することもまた、三澤珈琲としての役割だと優治氏は続ける。
「求められるものだけを提供していては、何も広がりません。新しい楽しみ方や味わいを提案し、お客様自身もまだ気づいていない価値を生み出すことも心がけています」

真の価値とサービスから生まれる、真のパブリックスペース
「真のサービス」は、その三澤珈琲の価値の一端を担う存在だ。サービスの本質を、「すべての人の心のなかにある小さな善意や気づきを、素直に行動に移すこと」だと表した優治氏。例えば、コーヒー豆選びで迷っているお客様がいる時、外国人のお客様が来られた時⋯⋯。誰しもの頭にふとよぎるであろうちょっとした声がけや手助けを、すぐさま実行することができるか否かで、お客様の満足度は大きく変わるという。
そして、「真のパブリックスペース」は、それら「真の価値」と「真のサービス」をもってして出来上がる。三澤珈琲はすべての人に開かれ、誰もが安心して自由に訪れることができる場所なのだ。

主役は従業員。チームプレーで信頼ある店づくりを
最後に優治氏は、創業者で焙煎士でもあった先代のあとを継いだ時から、三澤珈琲のメインプレーヤーは自分ではなく従業員たちだと語った。「私より彼・彼女らの方が長けている部分がたくさんあります。だから、できる限りの権限を委ねているんです。私の役割は、彼らが生き生きと働ける環境をつくること。それが商品やサービスの向上⋯⋯すなわちお客様への『真の価値あるコーヒーの提供』につながると信じています。三澤珈琲に行けば間違いないと、信頼を寄せてもらえる店になっていきたいですね」先代から受け継いだ理念や技術に、優治氏ならではの視点を加え、進化を続ける三澤珈琲。三澤珈琲の第二章はまだ始まったばかりだ。
Product商品詳細

有限会社 三澤珈琲特選ブレンド
(100g)500円(税込)
- 価格は取材時点のものになります
三澤珈琲を代表するブレンド。ニカラグアをベースに、コロンビア、ブラジル、インドネシア産などのコーヒー豆を中煎り~中深煎りにし、アフターミックスで配合。「毎日飲むコーヒー」を目指して、バランスのよさと後味の心地よさを追求した一品。
Company会社情報
会社名 | 有限会社 三澤珈琲 |
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住所 | 399-0721 長野県塩尻市金井263‐1 |
電話 | 0263-51-5620 |
FAX | 0263-54-3688 |
営業時間 | 【塩尻店】8:00~18:00 【松本店】9:00~18:00 【辰野店】10:00~18:00 |
定休日 | 毎週月曜・第三木曜 |
coffee-info@misawacoffee.jp | |
HP | https://misawacoffee.jp/ |
