夢だった契約農園を持ち
確かな味覚でコーヒーを作る珈琲人
ユーシーム株式会社代表取締役 田口真太郎
江戸川区内の喫茶店を始め約30店舗にオリジナルのブレンドを卸す、たぐち珈琲豆店。合格率が低いとされているJ.C.Q.A.認定コーヒーインストラクター1級を保有する店主、田口真太郎氏にコーヒーのこと、「夢だった」と語る契約農園について聞いた。
焙煎は工場で。そんな時代に始めた自家焙煎
たぐち珈琲豆店は、現店主、田口真太郎氏の父が高円寺で営んでいた喫茶店の支店として篠崎でコーヒー豆販売店をスタートさせたのが始まり。「コーヒーは焙煎工場でしか作れない」という当時の一般論を見直し、自家焙煎を始めたのが約20年前。今のコーヒー業界を先取る、先進的な試みだった。
焙煎機はブレの少ないトルネードロースターを愛用
田口氏が愛用しているのは、焙煎機トルネードロースター。これまでにさまざまな焙煎機を使い、現在使用しているのが4機種目だ。その特徴は電気で動く熱風焙煎で、コーヒーごとに焙煎プログラムを決定できるためブレが少なく、生豆を均一に焙煎できる。
美味しいコーヒーの定義について質問すると、「コーヒーのグレードが高いことと、味がいいことは別の話」と話す田口氏。生豆の段階で品質をチェックし、味はテスト焙煎したコーヒーで確認。時には店を訪れるお客様にも試飲をしてもらい感想を聞いてはさらに焙煎に反映させる。田口氏は美味しいコーヒーを作るために、この二段階を欠かさないそうだ。
夢だったブラジルの農園と契約
そんな田口氏が「夢だった」と語るのが契約農園を持つことだ。たぐち珈琲豆店では、商社から買い付けている生豆にくわえて、ブラジル・セラード地区のデュアスポンチス農園と2015年から契約をしている。近年、ブラジルで開発された「トゥピー」という品種を契約。同種はブドウやドライフルーツのようなフレーバーがあり、どのような焙煎をしても良い味が出るのが特徴。ストレートはもちろん、ブレンドに混ぜればその味を豊かにし、バランスを整えてくれるのだという。
農園と契約するということは、最低でも1.5トンという膨大な量の生豆をさばく覚悟がいる。しかし、そのリスクと引き換えに、粒が大きく、クオリティの高い生豆を安定して仕入れられるメリットが大きい。また田口氏は農園と直接契約をすることで「生産者と近い存在になれて、トレーサビリティ(物流の追跡可能性)をお客様に伝えられる」と話す。
また田口氏は農園の生産者に「美味しかったよ」「お客様が喜んでくれたよ」という感想を伝えるようにしているそうだ。契約上の付き合いだけでなく、大事にしているのは人と人とのコミュニケーション。それは生産者のコーヒーへの情熱を引き出すエッセンスになっているにちがいない。
8年をかけて取得した
J.C.Q.A.認定コーヒーインストラクター1級
超難解の検定で培った、品質を見抜く力
生豆にこだわる田口氏は、全国に800名ほどしかいないJ.C.Q.A.認定コーヒーインストラクター1級の資格保有者でもある。現在は「コーヒーの淹れ方セミナー」や「同じコーヒー豆を様々な抽出器具で淹れるセミナー」など、数多くのワークショップの講師として活動を行なっているが、その資格取得までにはかなり苦労したそうだ。
学科試験と実技試験はどちらも「コーヒー製造業者に求められる、プロとして必要な専門知識と鑑定技術」とされているが、実際の問題はといえば、目視でブレンドに配合されているコーヒー豆を当てる、などハードな問題が出される。田口氏はこの資格を取るまでに4回チャレンジ。約8年かけて、ついに合格した。その後、コーヒーインストラクター講師にステップアップし、今では資格受験者に講義をしている。
同じ農園で作られたとしても年ごと、ロットごとに品質が異なるコーヒー。今、確かな目利きと味覚でコーヒーを作ることができるのは、検定を受けるために続けた努力の賜物だろう。
言語化が難しいからこそのコミュニケーション
田口氏の目利きによって選ばれた品質の高いコーヒー豆。そのこだわりは江戸川区内を始め、約30店舗に卸しているブレンドなどにも反映されている。各店舗のオリジナルブレンドを作る際には、店の看板ともいえる「たぐちハウスブレンド」と「たぐちプレミアムブレンド」を飲んでもらい、そこから好みの味に調整していくそうだ。味を言語化するのは難しいので、店でどんなフードやスイーツと提供するのか、店主の好きな食べ物はなにか、などをヒアリングした上で、味と価格のバランスがとれたブレンドを提案している。
一見、静かな街、篠崎にひっそり佇むたぐち珈琲豆店。江戸川区の喫茶店や地域の方々に愛されているコーヒーを確かな品質と味わいで支えているのだ。
Product商品詳細
たぐち珈琲豆店たぐちプレミアムブレンド
- 価格は取材時点のものになります
たぐちプレミアムブレンドは同店の看板コーヒーのひとつ。契約しているブラジル・デュアスポンチス農園の生豆はもちろん、「その時に仕入れている生豆で最高のブレンドで作る」が商品コンセプトだ。バランスの良い味わいになるようコーヒー豆が配合されており、パッケージは買った商品がそのまま保存容器となるジッパー付きを採用している。
Company会社情報
会社名 | ユーシーム株式会社 |
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住所 | 133-0054 東京都江戸川区上篠崎4-29-11 |
電話 | 03-3676-4919 |
営業時間 | 14:00〜19:00(平日)、11:00〜18:00(土、日、祝日) |
定休日 | 第2、4火・水曜日 |
info@taguti-coffee.com | |
HP | http://www.taguti-coffee.com/ |