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珈琲人名鑑

宮内庁が認めた
老舗コーヒーロースター

株式会社 珠屋珈琲焙煎士 津田潔

1952年から宮内庁御用達として認められ、今なおコーヒーを納めている株式会社珠屋珈琲。老舗の喫茶店や飲食店からの信頼も厚く、かつての喫茶店ブームとともに成長を遂げてきた。今回は45年間、変わらぬ姿勢でコーヒーと向き合う珠屋珈琲の焙煎士、津田潔氏に話を聞いた。

天皇の料理番に認められ、宮内庁御用達に認定

創業は1937年。初代社長の小林正男氏はキーコーヒーから独立後、前身となる珠屋小林商店を創設した。正男氏は類稀なる営業力の持ち主で、宮内庁関連の知人を通じて昭和天皇の料理番だった秋山徳蔵氏と出会う。正男氏が渡したコーヒーを秋山氏が味を認め、1952年国内で唯一、宮内庁御用達のコーヒーとして認定された。

オーダーは晩餐会で振る舞うコーヒー

当時、宮内庁から届いたオーダーは、「晩餐会で提供するフランス料理の後にふさわしいコーヒー」。同社は理想のコーヒーを作るべく、生豆の選定、焙煎、ブレンドを駆使して皇室専用のブレンドを作った。

宮内庁への納品は今なお続いており、皇室が要人を招く晩餐会や園遊会では同社のコーヒーが振舞われている。年月が経とうとも一貫しているのは「旨味が感じられ、すっきりとした後味のコーヒーを作ることだ」と津田氏は語る。

生豆の味や個性を見抜くことが、
美味しいブレンド作りの第一歩

アフターブレンドで理想のコーヒーを作る

宮内庁に納めているコーヒーに極めて近い味わいの商品「ロイヤルブレンド」を始め、ブレンドには特にこだわりがあるという。生豆は常に16種類以上を仕入れており、5つの度合いで焙煎。それぞれの味や個性を細かくチェックしている。味作りの決め手は、コーヒー豆を後から混ぜるアフターブレンドだ。酸味や苦味などの味を調整することができ、バランスも整えられるという。繊細な味覚と高いブレンド技術で作られる同社のコーヒーは、上野精養軒や川奈ホテルといった老舗からも厚い信頼が寄せられている。

一瞬を見逃さない、伝統の味を守る熟練技術

焙煎は生豆の個性に合わせて、8キロの直火式と10キロの半熱風式を使い分けている。その日の気温や、生豆の温度、含水量などを見極め、焙煎温度や時間を調節しているという。釜からコーヒー豆を出すタイミングはほんの一瞬。前に焼いた同じ種類のコーヒー豆を皿にのせて片方の手に持ち、テストスプーンですくったコーヒー豆と比較。「ここだ」という瞬間に釜からコーヒー豆を出す。かつて200キロの大型焙煎機を扱っていた津田氏にとって、現在使用している焙煎機はコントロールしやすく、求めている味を作りやすいという。

焙煎したコーヒー豆を一粒かじる。五感を用いて焼き具合や味、香りを確認するのは、まさに熟練のなせる技だ。長い歳月を共にしてきた焙煎機に目をやりながら、「今が最高なのではなく、さらに良いものを追及していきたい」と語る。

徹底した安全管理と衛生管理

宮内庁を始め、多くの顧客へ納品してきた経験から、とりわけ安全管理への意識も高い。まず生豆の状態で異物が入っていないかを専用の機械でチェックし、焙煎機からコーヒー豆を取り出す際にはマグネットを使用して金属片が入っていないかも確認する。コーヒー豆を封入する際にも、目視でハンドピックを行い、不純物などが混入していないかを徹底的に管理している。また、焙煎機を設置している室内は、毎日の掃除はもちろん、床のモップがけまで欠かさないという。「お客さまの口に入るものだから、安全管理と衛生管理は重要」と、その姿勢は一貫している。

2017年には製菓を製造販売する企業との合併を果たし、さらなるステージへ踏み出した珠屋珈琲。歴史とともに積み重ねてきた皇室御用達のブランドを守りつつ、新たなシーンにコーヒーを届ける、その挑戦はこれからも続いていく。

Product商品詳細

株式会社 珠屋珈琲ロイヤルブレンド

(200g)1,242円(税込)

  • 価格は取材時点のものになります

1952年から納めている宮内庁オリジナルブレンドのコンセプトに非常に近いブレンド。甘さや深みのあるブラジル、バランスの良いコロンビア、さらにキューバなどカリブ海地域の香り豊かなコーヒー豆を使用している。こだわりのアフターブレンドで作り上げており、さわやかな後味も魅力。リピーターが多い、同社で一番人気の商品。

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Company会社情報

会社名 株式会社 珠屋珈琲
住所 104-0045 東京都中央区築地2-14-2 築地NYビル4F
電話 03-5565-0717
FAX 03-5565-0719
営業時間 9:00〜17:30(平日)
定休日 土、日、祝日
Mail info@tamaya.coffee
HP http://tamaya.coffee/
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