イチオシ情報

珈琲人名鑑

創業から50年 黒子に徹し
国内市場を支え続けるプロ集団

アライドコーヒーロースターズ 株式会社業務部 原料調達課長 兼 生産計画課長 大田利之

1972年に東京大田区で創業したアライドコーヒーロースターズ。工業用・業務用、外食市場で実績を積み上げ、今や工業用・業務用コーヒーのOEMで国内トップクラスのシェアを誇るがその名が表に出ることはない。常に黒子に徹し続ける同社で生産の要を担う、業務部・大田利之氏に話をうかがった。

半世紀にわたりコーヒー市場を影で牽引し続けるトップランナー

我こそはというコーヒー好きのなかに、アライドコーヒーロースターズの名を知る消費者はどれほどいるだろうか。喫茶店ブームに湧くさなかの1972年、「常により美味しいコーヒーを創造したい」という理念のもと、石光商事や焙煎業者数社等の共同出資で創業した同社は2022年に50周年を迎えた。だがその名が表舞台に上ることはほとんどない。一貫して裏方でのコーヒー生産に徹してきたからだ。

創業当初は喫茶店が主だった卸先は、コーヒー市場の発展とともに大手外食チェーンや飲料メーカー、量販店へと拡大。アライドコーヒーロースターズは、今や誰もが知る缶コーヒーやチルドカップコーヒー、ファミリーレストランやスーパーのプライベートブランドのコーヒー作りに携わる。多種多様なニーズと時代の変化に柔軟に応え続けてきた同社への業界からの信頼は厚く、工業用・業務用コーヒーのOEMにおけるシェアは国内トップクラス。まさにコーヒー市場を支え続ける影の立役者だ。

多種多様な商品作りの要となる、仕入れ・生産・品質管理の担い手

「弊社の強みは、どのようなニーズにも応えることができる高いノウハウや設備を有していることです」と語るのは、業務部の大田利之氏。1997年に入社後、約20年の営業職を経て現在は生産計画課長と原料調達課長を兼任している。数多くの国内の大手飲料メーカーを顧客に持つ同社では、年間の総焙煎量は約2万トン。商品レシピは数百にも及び、その原料調達や生産計画を立てるのが大田氏の役目だ。需要に合わせて生豆や資材を買付け、焙煎スケジュールを調整する他、提案用のサンプル品作りから営業部門との商品設計のサポートなども行うという。

「いわば、私は会社と仕入れ先の商社や社内の営業部門と生産部門とのパイプ役です。お客様と交わした契約通りの製品をきちんとお届けするには、社内外での円滑なコミュニケーション、生産地での不作などが生じた際などへのリスクヘッジ、そして徹底した品質管理が欠かせません」と大田氏。多種・多量の生豆を取り扱う同社では、一度の生豆の仕入れが300袋以上に及ぶコンテナ単位で行うことも少なくない。そのため、同一ロット内でも品質にブレが生じないよう、仕入れ前のサンプリングから本入庫までの間に複数回のカッピング検査を実施。さらに同一ロットを同一の納入日であっても小分けして検査を行うことで、確かな品質と信頼を保っているという。

最前線を走り続ける理由は
ハード・ソフトで備える高い技術力

特性が異なる多様な機器を備えることで、あらゆる味作りを実現

なぜこれほどまでに多様な商品作りが可能なのか。その理由は二つある。一つは、ハード面の設備だ。半世紀にわたり、常に新たな技術を取り入れながら顧客・時代のニーズに応えてきた同社では、特性が異なる複数種の焙煎機、粉砕機、包装機を備えている。なかでも焙煎機は、プロバット社製をはじめ、ディートリッヒ社製、スコラーリ社製などを使い分けることで、顧客が求める細かな味作りを実現。たとえば、深煎りの商品で使用するのは主に後者二社製の焙煎機だが、熱のかかり方や仕上がりの味・香りが異なることから、商品ごとにもっとも適したものを選択する。こうした幅広い生産機器を有することで、あらゆる要望への対応を可能にしている。

高い知識と技術を持つプロたちが勝ち取ってきた信頼と実績

もう一つはソフト面、つまり人材だ。自身もブラジルコーヒー鑑定士やJ.C.Q.A.コーヒーインストラクター1級の資格を有する大田氏。同社では各社員がコーヒーのプロフェッショナルとしてお客様と向き合えるよう、J.C.Q.A.コーヒーインストラクター2級以上の資格取得を推奨しているという。また、常に新たな価値を提供し続けるためには最新の知識・トレンドの収集が不可欠という考えのもと、国内市場はもちろん定期的にヨーロッパ各国や欧米など海外の一大消費地、コーヒー豆の主要生産地へ赴きその動向をキャッチ。同社が業界のトップランナーであり続ける事実は、これら高い知識を持ったプロフェッショナルたちに裏打ちされているのだ。

たゆまぬチャレンジ精神で、次の50年へ

最後に大田氏は「コーヒーを通じて、生産地・消費地・国内外のお客様と円滑なコミュニティを築いていきたい。そのためにも、直面する環境問題や時代の変化に常に目を向け、最先端の取り組みにチャレンジし続けていきたい」と語った。

半世紀にわたり黒子に徹してきたアライドコーヒーロースターズが、次の50年に向けてその歩みを止めることはない。見えないところで我々の豊かなコーヒーライフを支え続ける彼らの存在は、業界の宝といえるだろう。

Company会社情報

会社名 アライドコーヒーロースターズ 株式会社
住所 146-0081 東京都大田区仲池上2-23-21
電話 03-3754-6411
FAX 045-938-4015
営業時間 8:30~17:00
定休日 土、日、祝日
HP https://www.tacr.co.jp/
  • Twitter
  • Facebook
  • LINE